再会「そのような大金、受け取れぬ」
武装探偵社の応接室。社長の福沢が、腕を組み相手を見据えて低い声で云う。その後ろに立つ与謝野が口を開いた。
「善いンじゃない社長。再建に資金がいるのは確かじゃないか。事務員も人手不足でそろそろ発狂しそうだよ」
「そうですよ社長。一応、正式な依頼として来ていますし。それに、貴方も借りを作りたくないんでしょう?」
与謝野の隣でパイプ椅子の背もたれを前にして座っていた太宰が、福沢の対面に座る男へ問いかける。
「それもあるが」
その男、フィッツジェラルドは紅茶を一口啜ってからこう続けた。
「純粋に探偵社の勝利を祝福しているのだよ」
福沢は目を瞑り少し考えてから、静かに立ち上がった。
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