特別捜査官×教授秘書の一ぐだ♀のつもりだったもの1
鐘の音が鳴った。講義の終わりを知らせる音だ。研究室にあるソファの上でペンを走らせていた藤丸立香は、その手の動きを止めた。そして、瞬きを数回し、顔を上げる。
鐘が鳴ったということは、そのうちに授業を終えた教授がここに戻ってくる。立香は、ペンと数字が詰まった紙束を座っていたソファの上に放り、腰を上げた。
ミニキッチンへ移動し、ケトルの電源を入れる。珈琲をいれるためだ。
豆は、珈琲にこだわりのある友人が立香宛てに季節ごとに適したものをセレクトして送ってくるので、それを使う。彼が送ってくるペース的に、仕事場でも消費しないと間に合わないのだ。
コーヒードリッパーをセットし、紙フィルターの中に週末にあらかじめ挽いておいた珈琲豆をいれる。立香自身は、そこまで珈琲に関してこだわりはない。そのため、1週間分纏めて挽いたものをストックして使っている。
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