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    mninnmnninm

    りばーれとモンちゃんが好き

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    mninnmnninm

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    駆け落ちするミチフィガにモヤッてるリケちゃん
    フィガロに当たり強いリケちゃんが見たくて書いた
    ミチルはいない
    フィガロと愛の話(中身はない)

    「ミチルが貴方を選んだのは恩情であり慈悲であり厚意によるものです。そこらの貴方に媚びを売って取り入ろうとする下劣な輩と同じだと思わないでください。」

    少ない荷物を整理し鞄に詰めているときだった。
    声のする方へ顔を向けると開けていた扉にリケが立っていた。部屋の扉を出入りしやすいよう開けていたのだ。
    リケの固い表情を見て何の話をしているのかすぐに理解する。

    「それは、嫉妬かい?リケ」

    動揺なんてしない。いつもと変わらない軽い調子で答える。もう今更何を言われても心を乱されることなんてそうそうない。

    「 私は以前からずっと、貴方のそのような余裕綽々とした態度が気に入らないのです、、、そうですね、これは嫉妬です」

    弱々しく諦めたようにリケは静かに頷いた。
    そして意を決した表情で顔を上げる。

    「だから、だからミチルと共に生きる覚悟を決められないのであれば、早々に手を離してください。」

    これは彼の切実な願いだった。

    誠意を持って1人で俺のところへ話をしに来た彼にあぁ、ミチルは良い友人を持ったのだなぁと酷く感激してしまった。
    間違いない。誰だって思うだろう。こんな碌でもない男と生きていくなんて普通考えられない、と。
    それを間違えていると諭し異を唱えてくれる人が「彼」にはいるのだ。なんて素晴らしいことだろう。なんて羨ましいことだろう。なんて妬ましいことだろう。
    そんな人望の厚い男がこの俺と共に生き共に死んでくれるのである。これほど気持ちのいいことはない。

    大きく意志の強そうな瞳がこちらを見据えている。俺の意志を試しているのだ。

    「離したりなんかしないよ。残念だけど、君にとやかく言われるまでもなく、俺は最期までミチルと生きると決めたんだ。
    君だけじゃない。他の誰にだって渡したりはしない。」

    俺はリケを真っ直ぐに見返して堂々と言い放った。まるで迷いなんてこれっぽっちもないかのように。

    そうだ。こんなのは嘘だっだ。
    覚悟なんて全くなかった。

    「あの時」のように手を離されると直感したら簡単に手を離してしまうかもしれない。
    関心が俺から移ったら、移りそうになったら逃げ出してしまうかもしれない。
    1度深く傷ついた心はそうそう消えるものではなかった。

    暫しの沈黙の後リケは俺の答えに納得がいったのか分からない難しい顔をしたままミチルをよろしくお願いしますとだけ言い部屋を去っていった。

    足音が聞こえなくなるまで俺は動かなかった。

    耳を澄まして本当に音が消えるまで、扉の縁から見える廊下を見つめていた。


    俺はただ、愛が欲しかったし愛してみたかった。
    1番に大切だと、何よりも大切だと誰でもいいから言われてみたかった。
    どんなものよりも優先されてみたかった。

    愛した人に同じ質量で愛されたい。


    愛が、欲しい。

    つまるところただそれだけだった。
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    MOURNING駆け落ちするミチフィガにモヤッてるリケちゃん
    フィガロに当たり強いリケちゃんが見たくて書いた
    ミチルはいない
    フィガロと愛の話(中身はない)
    「ミチルが貴方を選んだのは恩情であり慈悲であり厚意によるものです。そこらの貴方に媚びを売って取り入ろうとする下劣な輩と同じだと思わないでください。」

    少ない荷物を整理し鞄に詰めているときだった。
    声のする方へ顔を向けると開けていた扉にリケが立っていた。部屋の扉を出入りしやすいよう開けていたのだ。
    リケの固い表情を見て何の話をしているのかすぐに理解する。

    「それは、嫉妬かい?リケ」

    動揺なんてしない。いつもと変わらない軽い調子で答える。もう今更何を言われても心を乱されることなんてそうそうない。

    「 私は以前からずっと、貴方のそのような余裕綽々とした態度が気に入らないのです、、、そうですね、これは嫉妬です」

    弱々しく諦めたようにリケは静かに頷いた。
    そして意を決した表情で顔を上げる。

    「だから、だからミチルと共に生きる覚悟を決められないのであれば、早々に手を離してください。」

    これは彼の切実な願いだった。

    誠意を持って1人で俺のところへ話をしに来た彼にあぁ、ミチルは良い友人を持ったのだなぁと酷く感激してしまった。
    間違いない。誰だって思うだろう。こんな碌でもない男と生きてい 1191

    mninnmnninm

    MOURNING去年書いたミチフィガ
    ミチルが成人してる
    まだ厄災と戦ってる
    魔法舎の裏手にある庭園のベンチで二人、静かに並んで座っている。風がすこし肌寒く感じはじめる季節になった。
    ミチルはそっと、フィガロの手を握った。
    存在を確かめるように優しく、それでいて何かを求めるように力を込めて指を絡ませた。
    フィガロは絡んだ指先にほんの僅かに身じろいだだけで指先はそれ以上動かなかった。どうすればいいのか分からなかったのだ。
    握り返してはくれないんですね、とミチルがぽつりと呟いた。その横顔を盗み見ようと顔をあげると悲しそうに寂しそうにこちらを見つめる瞳と目が合った。しかし言葉は続かなかった。お互いに探るような瞳で見つめあったまま不思議で静かな時間が流れた。
    フィガロは柳色の綺麗な瞳を見つめながら考える。彼は欲しいと言えばくれるのだろうか。願えば叶えてくれるのだろうか。薄い皮のすぐ内側で、ひりつくほど欲しているくせに何も出来ないでいる。彼のことも自分のことさえも信じられないでいる。力があって人望もあって権力もあってこんなにも強いのに愛の前ではこんなにも無力で不確かで曖昧で、弱い。本当に握り返してもいいのかと往生際悪く戸惑っている。ふと、彼の瞳に映る自身が欲を含んでいる表 799

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