死籠り 厄災の傷が感染する様になって百年が経ち、ボクたちは魔法科学や、マナ石すら使わない科学と言う技術に守られるようになった。だって誰だって心臓が燃えたら痛いし、絵の中に閉じ込められるのは怖い。それから不思議なことだけれど、魔法使いが弱くなってから人間はとても優しくなったのだ。ボクたちは普段、厄災から隔離されたドームで暮らしている。これを檻と呼んだのは誰だっただろうか。ミスラさんかもしれないし、リケだった様な気もする。
「ねぇ、フィガロ先生。怖くないんですか?」
「どうして?」
「だって、ほら、厄災がすごく近いです」
ボクは先生の傷を知らない。同じように、先生もボクの傷を知らない。傷を知る前に、ボクたちは檻に入った。
1126