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    綾月@

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    綾月@

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    現パロ🌹🪦バレンタイン話

    夕方、リビングのソファーに座りいい番組がないかとリモコンでコロコロとテレビ番組を替えていると、仕事から帰ってきたアルジェンティが着替える間もなく隣に座り、何か言いたげな様子でこちらを見つめてきた。
    「どうかしたか?」
    「あの、今度の十四日何の日か覚えていますか?」
    「十四日…?」
    そう尋ねられ、近くに掛けられていたカレンダーを確認する。二月の十四日と言ったらバレンタインデーだ、と視線をアルジェンティへ戻すと目を輝かせながらこちらを見つめていた。
    「バレンタインだろ?毎年カップルがチョコを贈り合う」
    「はい、バレンタインデーでして…その一つお願いが…」
    「珍しいなアンタがお願い使うなんて」
    「そうですか?」
    「使っても二ヶ月に一回とかだからな。まぁ、無理難題なもんじゃなけりゃ聞くけどな」
    「無理難題…では無いと思いますが。僕の我儘に近いので断って頂いても構いません。」
    「とりあえず聞いてから考えるから言ってみろよ」
    「分かりました。お願いの一つがバレンタインデーに何かプレゼントをいただけませんか?勿論、お願いする歳じゃないのは承知の上です。」
    真剣な表情で伝えられ、バレンタインに何も贈ってなかったかと思い出そうとするが、再会してから今までアルジェンティに渡した物となると、ヘアゴムや美容液といった消耗品のみで、バレンタインにちなんだプレゼントは確かに何も渡していない。
    「別にプレゼントの一つや二つ問題ねぇが…センスなくても文句言うなよ?」
    「勿論そのような事は言いません。ブートヒルさんからいただけるそれだけで十分ですから」
    「そ、そうかよ」
    「はい!」
    嬉しそうな笑顔を浮かべながらソファーから立ち上がり、風呂場へ向かう姿を見て、生半可な気持ちで選べないため、明日から色んな店に行く事を決意する。

    翌日、仕事終わりに近くの商店街を軽く探索し、少しでも心惹かれた物を見つけたらその店に寄って見るを繰り返すが、これだと思うものが一切見つからず、少し遠出した方がいいのかもと隣町に行く事を考える。だが今から向かっても帰りがかなり遅くなる事は確実だったので、日を改めて行こうとスマートフォンのカレンダーを確認する。まだ日数はあるものの、近くなればなるほど売り切れが続出するので、せめて二日前ぐらいには購入しておきたい所ではある。
    帰宅しこの時間に帰ってるの珍しいと、玄関に並んでいた靴を見る。普段早くても二十時を回っていたりする事もあり、スムーズに仕事が進んだのかと疑問が生じたが、早く帰ってきた時の事を思い出し、リビングに入ると案の定パソコンと向き合っているアルジェンティがいた。聞き取れるかどうかの声量でただいまを言い、風呂場へと向かい浴槽にお湯をため次第すぐ入ればいいか、と夕飯の準備をする為キッチンへと向かう。リビングとキッチンが一緒になっている事もあり、何をしているのかがすぐ分かるので、終わり次第声がかけれるのがかなり得である。ただ、今回はかなり時間がかかりそうだと、パソコンとずっと向き合っているアルジェンティを見て思う。髪を縛らずそのまま下ろした状態で行っており、下を向いたら絶対に邪魔なはずだ。ヘアゴムはあるにはあるが、恐らく縛る暇なく、すぐ仕事に取り掛からないと行けない状況だったかもしれない。それでも髪を止める動作を挟んで欲しいと考え、渡すプレゼントは髪留めにする事を決めた。
    仕事が終わったのかパソコンを閉じ、こちらに視線を向け驚いた様子を見せたアルジェンティに、気づかないぐらい集中してたんだな、と言うと、かなり急なものでしたので…と返ってくる。取引先にもよるがいきなり変更されたり、説明しろなり言われるのだろうか。それだとかなり人使いが荒い気もするが、会社にとって何かしら収益になる所だから断らず対応してるのか、と少し考える。だが自身が経営している訳では無いし、本人にしか分からない事だろうと思考を放棄する。
    「少し遅いが飯食うか?」
    「そうですね、いつもより少ない量でいただいても良いですか?」
    「分かった。明日の朝食うなら皿に盛って冷蔵庫入れとくがどうする」
    「恐らくそこまで時間は無いかもしれませんので、お弁当に入れれそうでしたらそちらにお願いします。」
    「かなりスケジュール詰め込んでるんだな」
    「かなり急な案件ですので」
    普段睡眠がや食事がと言っているのに、それが崩れ、目の下に隈が薄らとできているのを見て、今抱えてるものが早く終わることを願うしかなく、どうしたもんかと首を傾げる。遅い夕飯を摂り、風呂に入ったのを確認し、ちゃんと睡眠が取れるのか不安になる。一緒に暮らし始めそれなりに忙しいと理解しつつも、身体を壊さないかの心配がかなり強い。急用だったとしても、短期間でできるはずのない事を言う方もあれだが、それを受け入れるのもかなりお人好しが過ぎるのではと疑問になる。風呂から上がったアルジェンティの髪を乾かしてやり、普段行っているスキンケアも代わりにやる。そこまでしなくても大丈夫ですよと言われたが、全て無視し、就寝まで世話をしそのまま寝かせる。ものの数分で睡眠につき、かなり疲労が溜まっていたのか眠気があったのか考えつつ。
    翌日、たまたま休みだったので、普段より早く起き朝食の準備をする。昼は昼で別に用意しているが、朝食も大事な事なので少なすぎず多すぎずで用意する。朝食が完成し、テーブルに並べている時に起床し、ゆっくりと椅子に座り小さくいただきますと両手を揃え言う。もしかしたら今日も徹夜で行う可能性もあり、余計隈が濃くなるだけだと、目の前で食事を摂っているアルジェンティを見る。
    「もし今のやつが終わったら真っ先に帰ってこいよ」
    「どうしてですか?」
    「気づいてねぇのか?目の下、まだ薄いが隈できてるぞ」
    「必要な睡眠時間は取ったはずですが…」
    「ストレスも多少あんだろ。とにかくそれを消すために早く帰ってこい」
    「分かりました。なるべく早く帰ってきますね」
    そう言うが、なるべくを使うということはまだ、終わる見込みが無いに近い。
    アルジェンティを見送った後、早く帰ってくるにしろ遅かったにしろ、食事の栄養が偏っていたらそれはそれで体を崩す原因にもなるので近くのスーパーで買い出しをし、食材をしまった後髪留め専門店に向かうための準備をする。満足いく物が見つかればいいと考えつつ、家を後にする。
    数十分かけ目的地に辿り着く。ネットで見た時、似合いそうな物が載っていたが、調べた時が深夜だったこともあり、在庫を問い合わせる事ができなかった。無かった際、発注または取り寄せになるだろうから、そうなればバレンタイン当日に間に合わせることはできない。万が一を視野に入れつつ入店する。いらっしゃいませの声と同時に店員の方が駆け寄り、何かお探しですか?と聞かれる。ネットで見た商品があるか、と撮っていたスクリーンショットを見せると、在庫の方確認してまいります。と奥のほうに入っていき、調べるのに時間かかると考え店内を見て回る。口コミ評価が高いだけあり、店内に置いてある商品は全て繊細な作りになっており、やはり値段はそれなりにする。
    数分後、在庫確認を終えた店員の方が戻って来て、その手の中には目をつけていた商品があった。
    「お客様が見せてくださったお写真の物は、当店一種類しかございませんが、念の為ご確認の方お願いしても宜しいでしょうか?」
    「分かりました」
    カウンターの方に案内され、木製トレーに置かれた商品を確認し、これしかないと本能がそう告げ、これ購入しますと伝える。
    「ありがとうございます。ラッピングはしますか?」
    「あー…バレンタインみたいな色でできます?」
    「勿論できますよ。彼女さんへのプレゼントですか?」
    「そんな感じデス…」
    彼女の単語が出た時いや、男にと修正しようと思ったが、現代社会において、髪留めまたは簪で止めれるぐらいまで伸ばしてる男はそうそういないと思ったのと、話が複雑になるよりかはと考え適当に話を合わせた。購入を終え、ラッピングもしてもらい、後は壊さぬよう持って帰り渡す事だけを考え帰路に着く。
    家に帰りついたのは夕方ぐらいだったが、靴が並べて置いてありいや、そんな事はと考えつつリビングに向かうと、ソファーに座りテレビを観ているアルジェンティがいた。
    「ブートヒルさんおかえりなさい」
    「お、おぉ…ただいま?」
    「意外と早くに終わりすぐ帰ってきたのですが、ブートヒルさんの姿が見えなかったので、後一時間待って戻って来ないようでしたら電話の方かけようと考えてました。」
    「それは悪いことしたな。帰り今日も遅いと思ったから何もせず外出して」
    「いえ、ブートヒルさんは何も悪くありませんよ。たまたま僕の方が早く仕事が終わった…それだけです」
    「まぁ、それもそうだが…夕飯は普通に食えるんだよな?早く終わったんなら」
    「えぇ、しばらくは仕事も忙しくありませんし明日はお休みですから」
    「明日、休み取れたのかよ」
    「取れましたよ。でも無理やり取ったので、もしかしたらエラーが起こったりした場合は、会社に向かわないといけませんが…」
    「それは仕方ねぇ事だろ?そん時は気にせず向かえよ。大きな損失になったら後悔すんのはアンタだしな」
    「…確かにそれもそうですね」
    かなり考え込み始めたアルジェンティを横目に夕飯を作り始める。買ってきた食材を取り出し調理する。途中、先に風呂に入るか聞いたら状況を確認した後、では先に入らせていただきますと言い、風呂場へ向かって行った。流石にバラ風呂にはならないよな?と不安になりつつ調理を再開する。大体三十分から四十分後に料理が完成し、そろそろ出てくると予想しテーブルへと並べて行く。食べる前に風呂に入るか考えたが、そうしたら食べず待ってるよなと普段の行動を思い出し、先に椅子に座って待つ。隣の椅子に今日買ったプレゼントを置き。
    「待っていましたか?」
    「いや、出てくるちょっと前にできたから全然待ってねぇよ」
    「そうですか…ブートヒルさんはお風呂には」
    「飯食った後に入る。今入ったらアンタ、オレが出てくるまで待ってるだろ?」
    「流石に先に食べるのは忍びないですし…」
    「別に気にしなくてもいいのによ」
    椅子に座ったのを見て一緒に手を合わせ、いただきますと言い食事に手をつける。足りなかったらおかわりあるからなと言うが、この後デザートがありますからと言われ、何かあったか?と冷蔵庫内を思い出そうとするが、一切思い出せずまぁ、いいかと箸を進める。
    食事を終え、テーブルの上を片付けた後、ソファーに座ろうとしたアルジェンティを呼び戻し、椅子に座らせる。
    「何かありましたか?」
    「一日早いがやる」
    綺麗にラッピングされたプレゼントを渡すと目を輝かせながら受け取り、開けても良いですか?と聞かれ、渡した瞬間からアンタの物だから開ける開けないは任せるといい席を立つ。決して反応を見るのが怖かった訳では無い。
    「これは…白薔薇の簪ですか?」
    「アンタの赤髪に合うと思ったが…嫌だったら」
    「いえ、全く嫌じゃないです。僕の事を考えた物ですから」
    「ならいいけどよ…」
    渡したプレゼントをずっと嬉しそうに眺めている姿を見て、たまにはこういったプレゼントを渡すのも悪くないと思った。

    翌日、起きたら隣にアルジェンティがおらず、休みの日ぐらいゆっくり寝たらいいのにと、ベッドから出てリビングへ向かうと、昨日渡した簪を使っている姿を見て、これにして良かったと安堵しつつ、当日用で買ったチョコレートをいつ渡すかと考える。
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