なつびらき「立香、起きなさい」
「ん……あと、ちょっと」
「海に行くのでしょう? 道が混むので、着く頃には夕方になってしまいますよ」
頭ではわかっている。だけれど、驚くほどに動く気が起きない。お昼過ぎまで眠りこけていたい……。
「ふむ、仕方がありませんね」
何やら考え込むような声。途端にぞくりとこの身を駆けた嫌な予感に、ぱちりと目を開けて起き上がるも、一瞬だけ遅かった。
「ひあっ……! ひゃ、ぁっ! あはっ、あははっ!」
布団の中へ潜り込んだ手に脇腹を撫でられ、耐えきれずに笑い転げる。逃れようと身体を捩るけれど、腰回りをホールドされていて抜け出せない。与えられる刺激に悶え、悲鳴を上げるばかり。
「やめっ、起きます! おきますって! ひゃああっ!」
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