『千年砂糖を手に入れたのだけど……』
「またかよ?!」
電話の向こうから聞こえてきた寂雷の台詞に、左馬刻は驚きの声を上げた。
千年砂糖とは、流通が少なく滅多に手に入らない希少な砂糖…のはずなのだが、何の巡り合わせか、寂雷の手元に来ることが多い。左馬刻がお裾分けを貰い、それを理鶯に渡したのはつい先月のことだ。
『どうも縁があるようだね。それで、病院の子供たちにお菓子でも作ろうか、と思ったのだけど、私はお菓子作りは慣れていなくて。良ければ手伝ってくれないかな』
「まあ、それくらいお安いご用だ。いつがいい?」
『十三日は午前中までだから、午後からどうだい? もちろん、そのまま泊まってくれて構わないよ』
「十三の午後な、りょーかい」
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