ひとりぼっちのヒーローと幽霊の相棒【加筆修正版】「おやすみ、KK」
鳥居を抜けた後、自身の右手から彼の気配が無くなったことに暁人は気がついた。
未練が無くなれば成仏するとKKは言っていたが、彼が宿っていた右手から彼の気配がしないということはもう心残りはないということなのだろう。
全て、終わったのだから。
KKから託されたパスケースを開き、彼の写真をもう一度眺める。笑顔の彼とその家族がそこには映っていた。笑ったらこんな顔をするのかと、つられて暁人も笑顔になった。パスケースをポケットにしまい、暁人は再び前を向く。
「現世に、帰らないと」
暁人は最後の鳥居をくぐり抜けた。
――鳥居を抜けると急に真っ白な光に包まれて、その眩しさに思わず目を閉じる。やがて光が収まり薄らと目を開くと、目の前にはあの夜引き剥がされたKKと再び融合を果たした神社、広川神社があった。
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