寝起きドッキリ(蔵種)早朝も早朝、まだ暗いホテルの廊下に、怪しい影が二つ。その一つは、とあるテニス協会の会長。そしてもう一つは、会長秘書であるこの私。
「会長、まずいですって」
「何がまずいんや」
「今はこういうの、問題あるんですって」
私達が立っているのは、ホテルの一室のドアの前。部屋の中ではプロテニスプレイヤーの、白石選手が眠っているはずだ。
「ただの寝起きドッキリやろ。何がまずいんや」
「だからそれが駄目なんですって」
今日、この地でテニスのジュニア大会が開催される。その大会の目玉企画として、プロである白石選手の親善試合が行われるのだ。白石選手はそこらの芸能人も顔負けの長身のイケメンで、女性人気も抜群に高い。チケットの売れ行きも好調で、きっと企画は大成功に終わるだろう。
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