「はっくしょん!!」
パトロールしている隣から、大きなくしゃみと、その後、鼻をすする音がした。
「大きなくしゃみ」
「すみません……」
なにも悪くないのにそう謝るオスカーが可愛くて、つい笑みが零れる。
しかしそういえば、確かに今日は肌寒い。秋も深まって、もうシャツ1枚で外に出るのは心許ない時期になってきた。寒がりのオスカーはアウターを羽織っているが、それでも手先が冷えるようで、自分の手をぎゅっと握りしめている。
今日は可愛いオスカーを沢山見れたから、気分が少し良くなったのかもしれない。ずっとポケットに突っ込んでいたおかげで少し温かくなった手を、気づいたら差し出していた。
「フェイスさん……」
「ほら、早く」
717