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    第28回オスフェイ2hDW
    「思い出」「くしゃみ」を使用しました。

    「はっくしょん!!」

     パトロールしている隣から、大きなくしゃみと、その後、鼻をすする音がした。

    「大きなくしゃみ」
    「すみません……」

     なにも悪くないのにそう謝るオスカーが可愛くて、つい笑みが零れる。

     しかしそういえば、確かに今日は肌寒い。秋も深まって、もうシャツ1枚で外に出るのは心許ない時期になってきた。寒がりのオスカーはアウターを羽織っているが、それでも手先が冷えるようで、自分の手をぎゅっと握りしめている。

     今日は可愛いオスカーを沢山見れたから、気分が少し良くなったのかもしれない。ずっとポケットに突っ込んでいたおかげで少し温かくなった手を、気づいたら差し出していた。

    「フェイスさん……」
    「ほら、早く」

     急かすと、申し訳なさそうに、でも嬉しそうな表情で手を絡めてくる。もう暗いし、人気も無いし、気にする事はない。まるでデートみたいな気分になって、更に気分が高まる。

    「昔もこうして、手を握ってくれましたよね」
    「え?」
    「もう少し先の時期でしたが、朝のランニングを始める前にこうして……」

    言いながら俺の手を両手で握りしめて見つめてくる。

     ああ、思い出した。空気が冷たい朝、指先が冷えきっていたオスカーに、ブルゾンを羽織らせ、手をぎゅーっと握って、「風邪引かないでね」と声をかけたんだった。あまりに些細な記憶すぎて忘れていたけど、オスカーにとっては大切な思い出らしい。

     ますます気分が良くなった俺は、つい指を絡めたりなんかして、肩に頭を預けたりもしちゃって。珍しく触りたがる俺にドギマギしてるオスカーに笑顔を向けると、オスカーも優しく微笑む。

     今日も一つ、思い出を持って帰ろう。
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