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    touka_skom

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    恋人関係の左京と臣。
    ドライブデートで海に行くお話。

    茜色に染まる「晴れて良かったなぁ」

     助手席の窓から差し込む茜色の光を浴びてつぶやく。昨夜の天気予報では曇りと言っていたから、せっかく外へ出かけるのに、と少し落ちていたのだけれど、そんな気持ちはいつの間にか雲と一緒に遠くへと流されていた。

    「伏見、そろそろ目的地に着くぞ」

     真っ直ぐに前を見据えて運転をする左京さんがそう伝えてくれる。彼の髪は夕日に照らされて、まるで金糸のような美しさだった。きれい、と漏れた声は左京さんには届かなかったようで、勝手に気恥ずかしくなっていた。目線を再び窓の外へと移すと、今日の目的地が見えてきていた。いくつもの波が押しては返して、ゆらゆら揺れる水面に映る夕日もまた美しかった。

    「着いたぞ。日が沈むまでまだ時間はありそうだな」

     そう言いながら車を止めて運転席から降りる左京さんを追いかけるように車から出る。左京さんはトランクの扉を開けて荷台にクッションを置き、荷台に座るよう促す。なんだかエスコートされているようなくすぐったい気持ちになりながら感謝を述べて腰を下ろす。

    「…きれいだな」

     そう小さく呟いた左京さんは、車の中で見たときよりも鮮やかな光を纏っていて、世界中の誰よりも輝いて見えた。そんな姿を焼き付けたい、と俺は荷物からカメラを取り出してシャッターを切る。その音に気付いた左京さんは驚いていたけれど、嬉しそうに微笑んでくれたので、俺は夢中でシャッターを切り続けた。

    「伏見、もうすぐ日が沈むぞ。座って一緒に見よう」

     しばらく経つとファインダー越しに声をかけられる。俺はいつの間にか立ち上がっていたようだった。到着したころは目線くらいの高さにあった太陽も水平線に触れるくらいまで低くなっていた。集中が切れたせいか少し肌寒く感じる。カメラを荷台に置いて、準備してきていたコーヒーを二つのカップに注ぐ。先に腰かけていた彼に片方のカップを渡して、俺も隣に座った。乾杯、とカップを鳴らしたと同時くらいにピピッ、カシャッと音がする。

    「?今のは何だ」
    「セルフタイマーです。座る前に設定しておいたんです。せっかく二人で来たので記念に、と思って」
    「ったく、それぐらいいくらでも撮ってやるのに」
    「自然体な雰囲気で撮りたかったんです。ハハ」

     そう言って笑うと、左京さんは小さく笑って俺の頭を優しく撫でた。冷えた身体に伝わるあたたかな体温と大きな手が心地よくて目を細める。するとその手でスルリと腰を抱かれ、左京さんに引き寄せられる。そのまま肩を抱かれたから、俺も彼の腰に手を回して身を寄せ合った。

    「太陽も海も、本当にきれい…。今日は連れてきてくれてありがとうございました」
    「いや、前から言っていたからな。来られてよかった」
    「そうですね。左京さんさえ良ければ、また来たいです」
    「遠慮すんな。何回でも好きなだけ連れてきてやる」
    「約束、ですよ」
    「あぁ。もちろんだ」

     指切りげんまん、なんて今時の小学生でもしないか?と思いながら約束を交わす。そして視線を絡ませてからお互いの唇を触れ合わせた。

                *

    「臣クン、何見てるんスか?」
    「この間、左京さんと海に行ったんだ。その時の写真だよ」
    「いいね!俺っちも見たいな」
    「…すまん、太一。これは、俺だけが知っていたいんだ。だから、ごめんな?」
    「そんな幸せそうな顔されたら何も言えないッスよ!」

     ハハ、と笑ってもう一度カメラの画面に視線を落とす。そこにはとても幸せそうな二人の顔が映っている。この思い出を、この人をこれからも大切にしていこう、そう改めて思う。そんなことを考えながら窓の外に見えた夕焼けにあの日を重ねながら、俺はシャッターを切ったのだった。

                            終わり
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