欲の証明付き合い始めてから想い人の態度が変わることなんてざらにあることだとは思う。これまでとは異なる関係性を歩み始めるのだから、多かれ少なかれの変化はあるだろう。それが一層恋を燃え立てさせるのか、はたまた冷や水をかけるのかは置いといて。けれどもこの方向性は予想していなかったなと、差し出された手を見ながらぼんやりと考えた。
「どうした」
どうしたもこうしたもあるものか。カブルーは健康なトールマンの青年だし、ほんの一階分の店の階段を下りるのに手を貸してもらう必要はない。そう言ってこの手を跳ねのけるのは簡単だが、恋人が見せた善意の甘さに免じてカブルーは差し出された手を取った。
付き合い始めてからミスルンの様子がおかしい。
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