少女よぞら ボクは普通が何かがわからなかった。
だってそんなの誰かが決めたあちらとこちらの境界線だから。
「よぞら、貴女は女の子なんだから自分のことは『私』と言いなさい」
「どうして?なんで『ボク』はダメなの?」
「貴女は普通じゃないからよ。喋り方だけでも普通にならないと……」
『貴女は普通じゃない』、それがボクのお母さんの口癖だった。
でも何がおかしいのかは教えてくれなかった。ただ、何かが不快なものを見るようなそんな顔でお母さんはボクを見ていたと思う。
正直なところ異端であることは幼ながらにもわかっていた。だって、ボクの周りにはデジモンをトモダチって言える人間はパパ以外にいなかったし、訳あって動けないパパの身体を動かすお父さんはカラスのぬいぐるみで、お兄ちゃんはピノッキモンというお人形さんみたいなデジモンだ。
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