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    ヨルノ

    @to_me_28

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    ヨルノ

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    現パロ リーマン土銀
    ※あんまハッピーじゃない。
    ※土方が銀時以外の人と婚約しています。

    #土銀
    bank
    #現パロ
    parodyingTheReality

    きいろいプロポーズ おめでとう、は言ってやったんだからもう十分だろ。
     あいつも気まずいだろうし、これ以上は勘弁してくれ!!

     ……などという心の叫びは、俺達が付き合っていた事なんて微塵も知らない同僚達が察する訳もなく。
     土方の婚約を祝うという名目の飲み会は、うまいこと抜け出せなかった俺を道連れに二次会にまで突入し、日付が変わる手前でやっとお開きとなった。

     馬鹿みたいに飲んだ。
     呑まれなきゃやってられませんってこんなん。

     ぐでんぐでんになった俺は土方に支えられつつタクシー乗り場まで向かう。
     だからなんでここでも土方?同僚曰く、土方は酔っ払った坂田係らしい。
     確かにそうだったけど。飲み会終わりにしれっと介抱して送る感じで、俺のアパートまで一緒に帰って、朝までしっぽりしたこともあったけど。

     今はホント、やめてくれって感じだ。

     そんな気持ちとは裏腹に、祝いの酒ほどうめぇもんはねぇよなぁ。土方くんのお陰でいい酒が飲めました!なんて酔っ払い節は調子よく回る。
     ご機嫌な風に踏み出した拍子にフラついて、滑り落としそうになった鞄を寸前で土方がキャッチした。受け取られた鞄は、持っててやるから寄越せとそのまま奪い取られてしまった。
    「ひじかたくん、やさしいっ」
     よっイイ男!と囃し立てると、飲み過ぎだバカ、と呆れた声がした。
    「こんな色男、なかなかいませんから」
    「そうかよ」
    「もーだいすき」
    「……ん、もうちょっと黙ってろ」
    「けっこんしよ」
     土方が言い終わるか終わらないかくらいで言った。一瞬固まった俺達の横をバイクが猛スピードで通り抜けていく。エンジン音が脳ミソのど真ん中を殴るように響いて痛い。
    「うるっせぇなぁ」
     頭をガシガシと掻きながら呟き、なぁ?と土方の顔を見た。土方は何か言おうとした様に口を開いて、何も言わずにその口を閉じた。
     何ていうか、そうなるよねって感じの予想通りな反応過ぎて、少し笑ってしまった。
    「うるせぇよって。なぁ」
     土方の右手に抱えられてた自分の鞄に手を伸ばす。ありがとね、と軽く礼を言ってそれを引き取った。

     なおも何か言おうとする気配のある土方に気付かないようにして、丁度走ってきたタクシーに乗り込んだ。
     お客さん、大丈夫?吐かないでよ?と露骨に嫌がる運転手に行き先を告げ、無理やり発進してもらう。

     目を閉じると視界がグルグル回って吐き気がするから、ぼんやりフロントガラスの外を眺める。
     本当はあんな呪いみたいな言葉、言うつもりなかった。酔ってたから、勢いあまって、思いがけず、つい。

     なんて。

     そんな気持ちであるほうが幾分か可愛げもあっただろう。
     俺はあの言葉を、酔った頭の冷たい部分で確認して、言ってやれと思って口にしたのだった。

     俺と、土方が、結婚って!
     そんなこと、あの頭の固い男は思い付きもしなかっただろうし、仮に思い付いたところで、俺達二人ならきっと、なんて踏み出せる軽さもお互い持ち合わせてはいなかった。

     あのプロポーズは。
     俺と結婚なんてことを血迷う可能性が、シルバーの指輪交換ごっこをしてみるなんてことが、万一にもない状態の土方に対してだからできたものだった。

     プロポーズなんて考えもしなかった土方と、こんな状態にでもならないとできなかった俺。
     さて、残酷なのはどちらか。

     あいつはこの先も、自分自身の残酷さには気づかず、しかし律儀にこの呪いを思い出しては少しだけヒリっとするんだろう。
     ムカつく。ムカつくけど、そういう変に誠実なところも好きだったんだ。たぶん。

     青色の信号が黄色になって、タクシーがゆっくり止まる。静かに踏み込まれたブレーキによって、じんわり前のめりになった身体が元のように背もたれに沈んで、少し間を置いてから信号は赤色になった。
    「黄色だったじゃん。行っちゃえばよかったのに」
     運転手に絡むと、そういう訳にはいかないんですよと返された。
     黄色は止まれで、無理やり行くと事故しちゃうんだって。

     そんなこと、とっくに知っている。

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