パチパチ ふと、通りがかったキッチンの中から若い楽しげな声がブラッドリーの耳に入ってきた。ひょいと覗き込むとネロ、ミチル、リケ、そして賢者がテーブルの周りに集まっている。テーブルの上の皿には3つほどこぢんまりとした茶色い塊が載っている。あれはチョコレートだろうか。話している内容は分からないが大方ネロが作った試作品の試食会といった雰囲気だろう。
ぐう。
そういえば。ブラッドリーは片手で腹をさすった。心なしか小腹が空いた気がする。今日は早朝から双子にミスラとオーエンの喧嘩を止めてくれと有無を言わさず引き摺られ、ろくに朝飯を食えてなかったのだ。気分屋のミスラが直前までドンパチしてたことをけろっと忘れお茶に誘ってはきたが、無駄に疲れさせられた身では到底そんな気分にはなれなかった。
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