終戦後フェルヒュー+ロレ「すまないローレンツ、待たせたかね」
「いや、僕も今来たところだ」
テラスに現れたフェルディナントの姿は、普段通りの様に見えて少し髪の毛が乱れていた。
帝国というフォドラ統一国家の一将を任されながら宰相も務め、その上エーギル領の統治まで行っている彼は自分以上に多忙である。
そんな彼が合間を縫って昔のように茶会の誘いに乗じてくれるのを、僕は大変好ましく思っていた。
だから今日も彼がいっとう好む茶葉を持参したのだが、予想通り彼は飛び上がらん勢いで喜ぶ。
威厳さを滲ませながらも人の好意を心の底から受け取る無邪気な様は、なるほど、帝国内で人気が出るのも疑いようが無かった。
彼とは昔から貴族という観念について意見をぶつけ、有意義な議論をしてきた。
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