「大好き!!」今日も淫らに足を開く。媚びるように擦り寄れば相手は喜び、俺に魅了されていく。
本当に吐き気がする。好きでもない相手に笑いかけ、キスをし、喘ぐ。でも家族の為だと自分に言い聞かせ今日もこの吉原で俺は俺を売る。
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ある日、遠方に用事があり初めて吉原を通った僕はそこで運命に出会った。
艶のある黒い絹のような髪に美しい髪飾りをつけ、その宝石のように輝く大きい翡翠の瞳、白い肌を露出させ、小さい形の整った唇にはほんのりと紅を引いている、美しいまるで天女のような青年に僕は恋をしてしまった。けれど彼はきっと位の高い遊女なのだろう。僕には叶わない恋だ、諦めようとまた歩きだそうとすると不意に彼と目が合った。彼はその美しい瞳に僕を映した途端、目を大きく開き、顔を見る見る赤く染めていった。そう、まるで恋に落ちたかのような表情だった
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