お題【パートナー】乙骨とデートしている伏黒。ある時用を足すために公衆トイレに行き、乙骨は外で待ってもらうことに。乙骨とのデートに緊張して手汗が止まらない。個室で少し心を落ち着かせる。一息ついて戻ると知らない男性数人に囲まれている乙骨が。
急いで戻り事情を聞くと男性達は可愛い女の子といちゃつける喫茶のキャッチらしい。どうせぼったくりバーかなんかだろうと呆れる伏黒。だがしつこい勧誘に戸惑いを隠せない乙骨。「こっちのイケメンお兄さんは決めてくれましたよ!」なんてありえない嘘をつきつつ、焦る乙骨の肩に手を触れようとしたのでイラっとした伏黒は男の手を払い落とすと男達をギンと睨みつける。
「俺の女に手を出すな」
その言葉に男だけでなく乙骨も口をポカンと開け唖然としている。男達を睨んだまま乙骨の手を握ると急足でその場をあとにする。
しばらく無言で前を歩く伏黒に手を引かれついていくしかない乙骨。行き先もわからない不安から伏黒を手を引っ張り進行を制止させる。驚きつつも振り向いた伏黒は突然すみませんでした!と頭を下げる。急にそんなことを言われ理解できなかった乙骨は首を傾げる。
「先輩を女扱いしてしまったことです…パートナーって言えばよかったのに咄嗟に思い浮かばなくて…先輩はかっこよくて頼もしくて憧れの存在なのに女扱いは失礼ですよね。すみませんでした」
まるで大罪でも犯したかのような謝罪っぷりに驚く乙骨。謝ってるのか褒めてるのかわからない言葉に戸惑う。
「いやいや、気にしてないよ。むしろ彼女だと思ってるくらい僕のことを大切にしてくれてるんだね。嬉しいよ」
ありがとうと優しく笑う姿が眩しくて、本当にこの人は誰にでも親切で明るく照らしてくれる太陽のような存在だなと思う伏黒。
「でも俺がちょっと離れた隙にあんなやつに絡まれるなんて不覚でした。今日はもう離れませんから」
握られたままの手に力がこもる。
「本当伏黒くんは心配性なんだから」
少し照れながら苦笑いする乙骨は伏黒に肩を寄せ次はどこに連れて行ってくれのかな?と期待に胸を膨らませる。強く握りしめた手がデート最後まで離れることはなかった。