雛を育てた日々 夜叉は由緒ある一族だ。
旧きよりこの世に責務を負っている。
我らの血には生まれ乍ら妖魔を屠り、業を背負う意志がある。
それが仙の中でも夜叉族が高貴とされる所以だ。
同時に其れは夜叉が殆ど滅びた理由でもある。
我らの多くは負いきれぬ業に耐えきれず凄絶な最期を遂げる。
我らは其れを恐れはせぬが、璃月の民にすれば厄災にも等しい。
故に、お前のような者が夜叉一族の中に生まれ出でた事を我は……父は誇りに思う。
産んだ卵は、二人で交互に温めた。
七度、月と太陽の光を浴び、三つの卵のうち一つに命を授かったことを知った。
仙人は生まれ乍ら地脈から力を吸い上げて育つ。
地脈が溢れる険しい山の頂を棲家に選び、藁を敷いた寝床で魈と空は向かい合って卵を温めながら様々な話をした。
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