これ以降寒い時に腕を広げるようになった 「はぁ……」
先の任務で厄介な呪いを受けた。
おそらく過度に寒さを感じる呪い。誰にも言わないでいたが、だんだんと進行が進んでいるのか寒さで手が震え布団から抜け出せない状況にある。
「やっちまったな」
北の国にいた時のような痛みを伴うほどの寒さ。部屋は魔法で適温を保っていたというのにこうも寒く感じるとは。
とりあえず、子ども達に何もなくてよかったと思う。外から元気にドタバタと話す声が聞こえるので。
気を紛らわせながら寒さに耐えているとコンコン、と扉をノックする音が聞こえた。
「ネロ、今いいか」
ファウストの声。なんだかこんな状況で心が少し参っていたのか、安心感を覚える。だが、この状態を見られるわけにもいかない。
2029