Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    seaofjade

    @seaofjade

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐯 ⚔ 💛 💚
    POIPOI 10

    seaofjade

    ☆quiet follow

    太刀村ウェーブに乗っかってセリフ募集したよその1。お題セリフ「教えてやろうか」で太刀村短編。太刀川さんに無意識に教えこまれちゃう鋼くん。素敵なセリフありがとうございました!

    【10本勝負終了。勝者、太刀川慶】
    無機質なアナウンスがブース内に響く。何度も身体を受け止めたマットレスが、オレの身体の形に凹んでいるのが、自分の弱さを示しているようで。………少し、悔しい
    『さーて、15分休憩なー』
    「え、まだやってくれるんですか?」
    10本勝負で勝ちを引けたのはわずか1回。それも引き分けギリギリの勝ちだった。弱い相手に興味のない太刀川さんにとって、オレの実力は正直役不足だとしか思えない
    『あったり前だろ。ほら、早く寝ろ寝ろ』
    「は、はい。ありがとうございます」
    それでも、太刀川さんが望んでくれた。だったら応えるしかない
    『おう。次はもっと楽しませてくれよ?』
    普段よりやや低めの、何かを押し隠したような声。その声が寝る前の最後の記憶だったからだろうか。起きたら何かが違っていた
    【個人ランク戦。10本勝負、開始】
    住宅地の路地に転送される。太刀川さんを視界に捉えた瞬間にレイガストを起動。伸びてきた旋空弧月を受け止めた。そのままスラスターで接近、旋空をさせない間合いを維持する。しかしそれは太刀川さんの孤月の猛攻に飛び込むことと同義だ。縦横無尽に襲いかかる刃を防ぎ、受け流し、一瞬の隙を突くためにレイガストの盾を変形させた。中央を凹ませ、そこから太刀川さんの心臓目がけて刃を突き出す
    「っあ、」
    その刃が身に刺さり、トリオン供給機関に届く一歩手前で、オレの首が飛んだ
    「やるな」
    傾く視界に見える太刀川さんの目は、獲物を捉えて離さない獣のような瞳だった

    2本目、3本目とともに、あっさりと倒される。しかし、1戦戦うごとに太刀川さんが脳に残っていく。刀を自在に操る手と、がっしりとした肩幅。次は何が残るのだろう。何か、頭の中が埋められていくような、そんな感覚。………正直、少しだけ、怖い
    【4本目、開始】
    そんな無意識の恐怖からか、レイガストを右手に持ち替えた。すると太刀川さんは、面白くないと言いたげな顔になり、レイガストを割りにかかってきた
    「っ………!」
    しかしこちらも護ることに関しては自負がある。耐えて、耐えて、耐えて、腕と足を2本持っていかれたところで、ようやく首を切れた
    【トリオン漏出過多。太刀川、ベイルアウト】
    「っは、はあっ!」
    その後すぐにオレもベイルアウトし、またマットに沈む
    「ほう、流石だな」
    「いや、ギリギリでした」
    「よし、次な」
    1分1秒でも待ちきれない、とでもいうように、すぐさま次を強請る太刀川さんはまるで子どものようだ。きっとそれを口にすれば膨れてしまうから伝えたことはないが
    【5本目、開始】
    「なんだ、余裕だな?」
    そう思っていた感情が顔に出ていたのだろうか。慌てて顔を引き締める。すぐに向かってきた太刀川さんをスラスターで避け、旋空弧月。グラスホッパーで躱され、再び組み合う。孤月の猛攻を必死に受け、バックステップで距離をとる。また近づこうとグラスホッパーを起動させる太刀川さんに、オレは刃に変形させたレイガストを投げた。スラスターで速度の上がったそれは、グラスホッパーを壊し、太刀川さんのバランスを崩させる
    「うおっ!?」
    (今だ!)
    空中で落ちていく太刀川さんからの反撃はない。そう、思ったのに
    「残念」
    「ぐ、ぅっ」
    オレの振り下ろした孤月は、太刀川さんの孤月で弾かれ、もう一刀の刃が、深く胸に突き刺さっていた

    「ぁ………」
    重力に従って刃が柄までめり込む。顔が、近い
    「さぁて、お勉強の時間だぞ、鋼」
    また、太刀川さんの声を最後に意識を失った

    「っ、はっ!」
    ベイルアウトと同時に眠ってしまったらしいオレは、15分休憩終了のアラームで目が覚めた。けど、何か、どこかがおかしい
    「は、あっ………?」
    ブースのモニターには、5本目までの映像が流れている。その中の、太刀川さんの姿と声が、自分を狙う瞳が、熱く責め立てるようで
    『鋼?』
    「っ!ぅ、なんでも、ない、です」
    『ふーん』
    熱く籠る熱に気づかれてしまっただろうか。これを払拭するために、早く次の1戦をやりたい。そう思って6戦目に入ろうと機械を操作するが、エラー。相手がブースにいない、と表示される
    「なぁ、どうした鋼」
    「えっ………!」
    機械越しに聞いてたはずの声が、同じブースの中から聞こえた。振り返れば、圧倒的な強者の姿
    「たち、かわさん」
    「あーあー、そんな声出しちゃって」
    ゆっくりと近づいてくるその人は、既に換装を解いている、から………余計に、感じてしまう雄の匂い
    「解けよ、換装」
    追い詰められてマットレスに尻もちをつく。今、解くのはまずい。本能的にそう感じて首を横に振る
    「   解け」
    太刀川さんの身体と壁に挟まれて、たっぷり間を開けてから言われれば、もう、従うしかなかった
    「と、りがー、おふ」
    キィン、と音を立てて戻る身体。生身は、これ以上ないほどに火照っていて、そして、
    「いい具合に育ったなぁ」
    どうしてか、芯に熱をもっていた
    「な、んでっ…!」
    混乱して、視界が歪む。それを隠したいのに、脚の間に太刀川さんの膝が入っているから無理だ
    「………教えてやろうか」
    この困惑の原因を知れるなら、と縋るように顔を上げれば、
    (あ、だめだ)
    これはもう、学習した眼差しだ。オレを、喰いつくそうとする瞳
    「知りたいんだろ、オレの全部」
    お前になら、見せてやるよ

    そうだ、オレは知りたかったんだ。その捕食者の瞳が求めるものを。そのためなら、頭の先からつま先まで………食べられてもいいと、思うくらいに
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😍❤🇪🇱🇴ℹ💕💗❤😍💯💯💯💯😭😭😭😭👏👏💖❤😭🙏💵❤😭💕🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works