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    nok_0000xxxx

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    シェさんの初期アンカーの話。

    再殺-12 私は透き通るように白い細い首に手をかけた。大人の男の手であれば、ほっそりとしてか弱いそれは、いとも容易く折れることが想像できた。花を手折るように。こがねの、外はねの癖のある髪が手の甲を擽り、それがどうにも、耐え難く恐ろしくて、遂に私は手に力を入れてしまった。
     くしゃりと乾いた音がして、スイセンがこうべを垂れた。彼の白い肌に、浅黒い私の手が指が、泥の汚れのように絡んでいた。

    ---

     今日も悪夢を見た。白昼夢だ。テーブルに、妻の置いた花瓶があって。私はそれを倒して、黄色いスイセンを握り潰していた。花瓶は白くて、人の体のようにくびれている。空恐ろしいかたちをしていた。小さくてか弱い少年のようだった。
     こぼれた水を拭いて、散らばった花々を花瓶に戻す。妻は子どもと共に買い物に出かけ、私は留守番をしていた。よかった。この花々は子どもが摘んできたもので、こんな有様にしたのを見せたくはなかった。握り潰したスイセン以外に被害がなかったのは幸いだ。萎れて首が折れてしまったと、子どもには言おう。命はいずれ終わるのだから、仕方がないのだ。そうだろう■■■。お前は私が殺したのだから。そうだろう? 答えてくれ。応えるな。声が聞こえない。
     真昼の日差しが眩しかった。私は裏の庭に死んだスイセンを埋める。お前は切花だから、球根はない。きっとこのまま朽ちてくれる。燃やしたら灰となり土となる。そうだ。
     花弁を踏み躙った。それから埋めた。土色に隠されて、花は穢れて終わった。さようなら、ナルチーゾ。

    ---

     一週間後。一人の少年がスイセンの墓場に座っていた。人懐こそうな微笑みが私に向けられた。私はその細められた青いまなこが恐ろしくて、手斧を振り上げて、何度も何度も頭の先から地面まで貫通するほどの力強さで打ち付けて少年を壊した。花弁が散った。黄色い。赤い。青い。壊す。壊す壊す壊す。■■■、お前は死んだのにどうしているんだ!
    綺麗だ。蹂躙の後に命の残骸がある。お前はもう微笑めない。幼い芽? そんなものはなかった。残骸だけだ。可哀想に、赦してくれ。私はか弱く細く清らかな体と命を鉄と土で穢し、犯しました。神よ。神よ。
     あの砂糖を水に溶かしたような甘い声が囁く。私の名を呼ぶ。唇を砕いていなかったから、彼は話せたのかもしれない。千々になった■■■の体の欠片を私は握り潰した。静かな夜のことだった。
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