欠乏症紅菱達が開拓した九州は新華蘇県、そこに出張開業されたパンダ医院の一室で、ミロは机に突っ伏していた。ここ最近、何故か日に日に気力が衰え、何をしても気持ちが上がらない。眠りも浅く、食欲もない。凄腕のパンダ先生からは想像できないようなケアレスミスを連発し、得意の調剤にすら失敗するといったありさまで、元来医者としての自負にあふれたミロも、今回ばかりは自分の不調さに自信の綻びすら感じはじめていた。
診療時間の合間となる昼下りの時間、通常であれば、カルテ整理やら薬の補充、入院患者への対応に当たっている所ではあるが、ここ数日のミロの目に見える不調ぶりと顔色の悪さに、看護師たちから「取り敢えず先生は休んでください。」と、遠まわしの戦力外通告を受け、この時間には人の出入りがない診察室へ否応なしに放り込まれてしまった。こじんまりとした部屋には患者用のベットも備え付けてあるが、眠る気にもなれず、ただ椅子に座り、机に項垂れている次第である。
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