❏設定❏
・彰人と杏が初めてのSEXをする
・付き合いはじめて数か月目くらい
・すでにキスはしている
❏本文❏
~彰人の部屋~
彰人・杏:ベッドに座って話をしている
彰人「それで、謙さんにはなんて言って泊まりに来たんだよ」
杏「え? こはねの家に泊まるって言ったけど、それがどうかしたの?」
彰人「お前のことだから、オレの家に泊まるって馬鹿正直に言っちまってるかと思った」
杏「ちょっと、彰人……もしかして、私のことバカだと思ってない?」
彰人「だから正直の前にバカってつけたんだろ」
杏「あんたね」
彰人「それより、なんでそんなに離れた位置に座ってんだよ」
杏「え……?」
杏:ぎくりと体を硬直させて、視線をそらす
彰人「お前に限ってまさかとは思うが……もしかして、オレが怖いのか?」
杏「そ、そんなわけないじゃない、誰が彰人のことなんか……」
彰人「だったら、もっと近くに来れるよな」
杏「その手には乗らないからね」
彰人「は?」
杏「近くに行ったら、押し倒すつもりでしょ」
彰人「当然だろ」
杏「……!? と、当然……!?」
杏:顔を真っ赤にして叫ぶ
彰人「お前こそ、付き合ってる男の家にのこのこと泊まりに来ておいて、今更なに言ってんだ?」
杏「う……っ、そ、それは……」
彰人:腰を上げて移動すると、杏との距離を縮める
杏:距離が縮まった分だけ移動すると、彰人との距離を離す
彰人「おい」
杏「……」
彰人「はあ……分かった、なにもしねえよ」
杏「ほんとに?」
彰人「ほんとだって」
杏「ほんとに、ほんと?」
彰人「しつけえぞ……ほら、来いよ」
杏「……」
杏:恐る恐る彰人に近づいていくと、彰人の隣りに座る
彰人:杏の手をぐいっと勢いよく引っ張ると、ベッドに押し倒す
杏「きゃ!? ちょ、ちょっと……彰人!? あ、あんた、騙し……むぐっ!?」
彰人:杏の口を手で塞ぐ
彰人「バカ、家族いんだから静かにしろ」
杏「……」
杏:すぐに大人しくなると、こくこくと頷く
彰人:そっと手を離す
彰人「騙されるほうが悪いって言葉、知ってるか?」
杏「またそうやって、人のことをバカにして」
彰人「してねえよ」
杏「三回もバカって言ったじゃん」
彰人「……」
杏「……? ちょっと彰人、急に黙んないでよ」
彰人:不安そうに表情を曇らせる杏を尻目にふっと不敵な笑みを浮かべると、杏が着ている服の裾を掴み、ゆっくりと上にずり上げていく
杏「あ……っ、やだ……ま、待って……彰……」
彰人:杏の制止を無視して続けると、杏の服を首元まで捲り上げる
彰人「お前もその気だったんだろ。それとも、普段からこんなフリルだらけの下着をつけてんのか?」
杏「~~っ! うるさい……!」
杏:恥ずかしそうに顔を真っ赤にすると、両腕で顔を覆い隠す
彰人:ブラジャーの上から胸を触ると、弾力を確かめるように両手で揉みしだく
杏「……っ、うぅ……」
彰人「痛かったりしたら、ちゃんと言えよ」
杏「う、うん……」
彰人:ブラジャーを上にずらすと、ぷるんと揺れながら目の前に現れた胸をじっと凝視する
杏「……っ、やだ……あんまり、みないで……おねがい……っ」
彰人「すげえな……」
彰人:初めて見る杏の胸を凝視しながら呟くと、無遠慮に撫でたり揉んだりを繰り返して、じっくりと堪能する
彰人(柔らけえし、いい匂いするし、今すぐ挿れちまいてえ、けど……)
彰人:杏に興奮を悟られないように気をつけながらそっと胸に顔を近づけると、胸の先端をぱくりと咥え、反対側の胸の先端は指を使い、両方の胸を同時に刺激しはじめる
杏「……っ!? ……や、あ……ん……っ」
杏:びくりと体を震わせて彰人の肩を押すも微動だにせず、すぐに抵抗を諦める
杏(ど、どうしよう……力が強くて全然引き剥がせない……やっぱり、彰人も男の子なんだ……)
彰人:しばらくは杏の反応を見ながら胸への愛撫を続け、満足すると体を起こす
杏「……あ……っ、はぁ……はぁ……っ」
彰人「なんだよ、もうへばってんのか?」
杏「し、仕方ないでしょ……男の子の家に泊まったのも、いま彰人にされてることも、ぜんぶ、初めて……なんだから……っ」
彰人「そのわりには、煽るのが上手いな」
杏「……っ、そ、そんなんじゃ……」
彰人:杏の下半身に手を伸ばし手早くショートパンツを脱がせると、片足に引っかけた状態にする
杏「……っ!」
杏:この日のために用意したフリルたっぷりのショーツを直視して恥ずかしくなると、生理的な涙を浮かべて目をそらす
彰人:透明の染みが広がっているショーツの上から杏の性器をなぞる
彰人「濡れてる」
杏「……っ!」
彰人「ほら」
彰人:杏の目の前に手をかざすと、透明の糸が引く指を見せつける
杏「〜〜っ! やだ、わざわざ見せないで……!」
杏:羞恥心に耐えきれなくなり、両手で顔を覆い隠す
彰人:杏のショーツを横にずらすと、愛液をすくうように下から上にかけて指先でなぞっていく
杏「や……!? ちょ、ちょっと……! そ、そんな、とこ……見ない、で……っ」
彰人「下着の中は、まだ見てねえって」
彰人(後で見るけど)
杏「~~っ、まだ、って……な、に……っ、や……あぁ……っ」
彰人「……ったく、さっきから文句しか言ってねえな、お前」
杏「な……!」
杏:キッと彰人を睨みつける
彰人:ショーツの中から指を引き抜く
彰人「こんな似合わねえ下着をつけさせちまったのがオレなら、責任とって見てやらねえとって脱がさねえでおいたのによ」
杏「に、似合わない……!? てゆーか、そんなの別に頼んでな……っ」
彰人:怒る杏を無視して杏のショーツの両脇に手を伸ばすと、指をかけて一気にずり下ろす
杏「……!? や…………っ、~~~~っ!」
彰人「言葉通りに受け取ってんじゃねえよ、ほんとバカだなお前」
杏「また、バカって……!」
彰人「それとも、かわいいって言ってほしかったのか?」
杏「~~っ! 言って、ほしいに……決まってる、じゃん……」
彰人「……っ、急に素直になるなよな……」
彰人:照れ隠しに頭をかきながらそう言うと、杏の耳元に唇を寄せる
彰人「かわいい……」
彰人:わざと声を低くすると、杏の耳元でぼそりと囁く
杏「……っ!」
杏:すでに赤かった顔をさらに赤くさせると、じわりと瞳に涙を浮かべる
杏「……下着が?」
彰人「~~っ、俺とするために、そんな似合わねえ下着をつけてきた、お前がだよ……」
杏「……っ、彰人……」
彰人「言わせんなよな……」
彰人・杏:じっと見つめあうと、どちらからともなく唇を重ねる
杏「ん……っ、彰……人……、はぁ……っ」
杏:口内に入ってきた彰人の舌にびくりと体を硬直させるも、たどたどしい舌使いでキスに応える
彰人「……、杏……」
彰人:しばらくキスを続けた後に体を起こすと、中途半端に服を脱がされた状態となっている杏の全身を目に焼きつけるようにじっくりと眺める
杏「…………っ」
杏:じっと凝視されていることが恥ずかしくなると、胸と性器を両手で隠す
彰人「今さら隠しても遅いだろ、もう見ちまったって」
杏「~~っ、もう、ほんとうるさい……!」
彰人:杏の下腹部に顔を近づけると性器を隠している杏の手を掴み、すっかりと濡れそぼっているそこに舌を這わせる
杏「……っ!? ……や、やだ……っ、彰……人、そんな……とこ……っ、きたない……っ」
彰人「汚くねえよ」
杏「や……あ、ん……! そ、こっ……口、つけたまま、喋んない、で……っ」
彰人:中から溢れてくる愛液を舌で舐めとりながら、性器の先にある突起にも舌を這わせる
杏「……あ、あぁ……!」
杏:びくんと全身を大きく震わせると、彰人の頭を太ももで挟み、両手で押し返しながら弱々しく抵抗する
彰人:突起の部分に舌を這わせながら、一本だけ指を挿入する
杏「……!? ……や……っ……痛、い……っ」
彰人「!」
彰人:杏が痛がっていることに気がつくと、すぐに指を抜いて唇を離し、手の甲で口元を拭いながら体を起こす
彰人「悪い、痛かったか……?」
杏「うん、少し……」
彰人:杏の上に覆いかぶさると、キスをする
杏「……っ!? ……んっ、……ん……っ……はぁ……」
彰人:唇を離すと、杏の片手に指を絡ませる
杏:キスで体の力が抜けてしまい、とろんとした表情で彰人を見上げる
彰人「キスしながらしてやるから、痛かったら力いっぱいオレの手を握れ。……いいな?」
杏:彰人の目をじっと見つめると、こくりと頷く
~数分後~
杏「……っ、ん……んん……っ、ん……う……」
彰人:杏にキスをしながらすでに指を三本入れていて、中でバラバラに動かしている
彰人「痛くねえか?」
彰人:唇を離すと、指を動かしながら問いかける
杏「う、ん……っ、むし、ろ……なんか、奥……っ、じんじん、して……っ」
彰人「……? 痛みとは違う感じってことか?」
杏:羞恥心から顔を赤くしながらも、こくりと頷く
杏「……っ、これって、きもち……いい……っ、てこと……なの、かな……っ」
彰人「分かんねえけど、さっきからずっと濡れてんのは確かだな……」
彰人:杏の耳元に唇を寄せると、意地悪な口調で囁く
杏「〜〜っ! やめ、てよ……っ、そういうこと、言うの……っ」
彰人「文句を言える余裕があんなら、大丈夫そうだな」
彰人:ふっと笑いながらそう言うと、杏の中から指を引き抜く
杏「……ん、ぁ……っ」
杏:ぴくんと体を震わせると、軽く背を仰け反らせる
彰人:体を起こすと、いまだに履いたままのズボンのファスナーをゆっくりと下ろしていく
杏「……! ……やっ、ま、待って……っ」
彰人「これ以上は待てねえ」
杏「…………っ!」
彰人「何か月、我慢したと思ってんだよ」
彰人:すっかりと余裕をなくした表情でそう言うと、杏の両足の間に体を押し込み、硬くなったものを下着越しに杏の性器に押し当てる
杏「……!? ……ぁ……やだ……っ」
彰人「今から、これをお前の中に挿れる」
杏「む、無理……絶対、入んない……!」
杏:彰人から逃れようとするように軽く暴れる
彰人「あ……おい、暴れんな……!」
彰人:チッと舌打ちをすると、再び杏に覆いかぶさってキスをする
杏「……!? ん……っ、ぅ…………」
杏:驚いたように目を見開くも、すぐに体の力が抜けていくと彰人の背中に腕を回し、目を閉じてキスに応える
彰人:ゆっくりと唇を離す
彰人「……杏、頼む」
彰人:杏の目の前で切羽詰まった表情を浮かべると、ぼそりと呟く
杏「……っ、…………」
杏:彰人の表情にきゅんと胸がしめつけられると同時に瞳を潤ませると、こくりと小さく頷く
彰人「好きだ、杏……」
彰人:杏が受け入れてくれたことに興奮を覚えながらも感情を表に出さないように押し殺すと、杏の耳元に唇を寄せて普段より低い声で囁く
杏「……っ、私、も……好き……」
彰人「こはねよりか?」
杏「そ、それは……」
彰人「いや、そこで悩むなよ」
彰人:苦笑いを浮かべながら目をそらす杏の額を軽く小突く
彰人「それより、ズボンのポケットの中にあるものを取ってくれるか?」
杏「彰人の?」
彰人「ああ」
杏「分かった」
杏:なんだろうと思いながら彰人のポケットからコンドームを取り出すと、顔を真っ赤にする
彰人「中身を出して、つけてくれ」
杏「わ、私が!?」
彰人「そのほうがお前だって安心だろ」
杏「……っ、うぅ……」
彰人「オレも、後から合意じゃありませんでしたとか言われるリスクを減らせるからな」
杏「え、ちょっと、なにその理由!?」
杏(私、こいつの彼女なんだよね? 扱いおかしくない?)
杏:彰人の言葉に混乱しながらも、恐る恐る袋を破ると中身を取り出す
杏「こ、これを……」
杏:コンドームに向けていた視線を、ちらりと彰人の下半身に移す
杏「……っ、…………」
彰人「おい、もたもたすんな」
杏「わ、分かってるって! 急かさないでよ!」
杏:ごくりと生唾を飲み込みながら彰人の下着に指をかけると、顔を横に背けて直視しないようにしながら、窮屈そうに下着を押し上げている彰人の性器を解放する
彰人「あのな……なんで目をそらしてんだよ、ちゃんと見ながらやれよ」
杏「だ、だって……父さん以外のなんて見たことないし、見たくないんだもん……それに、その状態になったものは、なおさらイヤ……!」
彰人「見たくないって……しかも謙さんのとかさらっと言うなよ、萎えんだろ。……ったく、仕方ねえな」
彰人:杏が持っているコンドームを奪い取ると、自分で装着していく
杏「……!? えっ……ちょ、待ってよ……わ、私がやらなくていいの?」
彰人「今日のところはな。お前に任せたら、いつまでも先に進まねえし」
杏「それは……そうかもしれない、けど……」
彰人「今度口に咥えさせっから、その時までには直視できるようになっとけよ」
杏「なにそれ、最っ低……!」
彰人:杏の言葉を無視して、無事にコンドームを装着し終えると、杏の上に覆いかぶさる
杏「……っ、…………」
杏:不安そうな眼差しで彰人を見つめる
彰人「痛かったら、言えよ……」
彰人:性器の根元を持って固定すると、先端を杏の性器にぴたりと密着させる
杏「ま、待って! 彰人……もう一回、好きって言って……?」
杏:慌てて彰人の行動を制止しながら、上目遣いで見つめる
彰人「……ったく、仕方ねえな。一度しか言わねえから、よく聞けよ。……お前が、オレをこはね以下の存在だと思っていようが、オレは誰より……お前のことが好きだよ」
杏「――――…………っ」
彰人「もういいか? 早く挿れてえんだけど……」
杏「……あはは、いいよ。今ので覚悟できた。私も好きだよ、彰人……」
杏:彰人の背中に腕を回すと、キスをする
彰人:杏からのキスに応えながら、ゆっくりと性器を押し込んでいく
杏「……っ! あ、ん……っ、や……あ……っ」
彰人「……っ、痛く……ねえか……?」
杏「すこ、し……痛い……っ、でも、大丈夫……早く、彰人と……繋がりたい、もん……」
彰人「……っ、あんま、煽んなよ……抑えが効かなく、なんだろ……」
彰人:一気に挿入して激しく突き上げたい衝動を抑えると、ゆっくりと杏の中に侵入していく
杏「……ん……や、ぁ……っ、あ、きとぉ……っ……ま、だ……?」
彰人「まだ、半分も入ってねえよ……」
杏「……っ!? う、そ……っ、そんな、おっきい、の……無理……っ」
彰人「今日のお前は、珍しく弱気だな……」
彰人:ふっと微笑みながらそう言うと、杏の頭を優しく撫でる
杏:ここちよさそうに目を閉じる
杏(男の子の手、だからかな……大きくて、骨ばってて……目を閉じると、父さんに撫でられてるみたいで安心する……もちろん、相手は彰人だし、こんな時に父さんの顔が浮かぶのは変だけど……彰人が撫でてくれてるおかげで、緊張がとけていく感じがする……)
彰人「……っ、杏…………」
彰人:半分以上挿入したところで杏を撫でるのをやめると、杏の両手に指を絡めながら名前を呼び、グッと残りの部分を埋めていく
杏「……あ、んっ……彰、人……っ、あ……ん、あ……あぁ……!」
彰人「――――…………っ!」
彰人:自分の性器が全て杏の中に埋まっている光景に目を奪われると同時に、征服欲が一気に満たされていく感覚にぞくりとする
杏「……彰、人……」
彰人「……痛く、ねえか?」
杏「……う、ん……全部、入った……の……?」
彰人「ああ……」
杏「……っ、そっか……」
杏:一瞬眉根を寄せて泣き出しそうな顔をした後に、ふわりと微笑む
彰人「……っ、杏……!」
彰人:杏の微笑みを見て歯止めがきかなくなると、杏の両手に指を絡めたままの状態で律動を開始する
杏「……っ!? や……あ……っ、あき、と……っ……あ、あ、あぁ……っ」
彰人:愛液が溢れ出しぐちゅぐちゅと音をたてる杏の中を、可能な限り優しく突き上げ続ける
杏「……あ、あっ、ん……あぁ……っ、あき……と……っ、あ……いや……あん……っ」
彰人「……、杏……好きだ……っ」
彰人:突き上げるたびに目の前で上下に揺れる杏の胸に興奮し、ゆっくりと顔を近づけると胸の先端を口に含む
杏「……っ、あ……ん、あっ……私、も、……っ!? やっ……いや……! だめ! そ、こっ……同時に、されちゃ……! ~~~~っ!」
杏:胸への刺激が加わると、彰人に突かれている場所がじんじんとするような感覚が増していき、生理的な涙をぽろぽろと零しながら首を左右に振る
彰人:胸を刺激したことでさらに愛液が溢れ、先ほどより滑りがよくなった中を何度も強く突き上げる
杏「あっ、あ……! あ、あぁ……! だ、め……っ、あき……とぉ……! なん……か、きちゃ……う……っ」
彰人「……っ、杏、悪い……っ、もう、出ちまう……っ」
杏「~~っ! イっ……て、あき……と……っ、わたし、の……なかで……っ」
彰人「……っ、ああ…………」
彰人:最後まで抑えていた欲望を全てぶつけるように乱暴に杏の両胸を鷲掴みにすると、激しく腰を打ちつける
杏「あ、あぁ……! や……あ……あん……! あき、とぉ……っ、あ、あ……あんっ……あ、あぁぁ……!」
彰人「……くっ……、杏…………!」
杏:びくびくと全身を痙攣させながら、大きく背を仰け反らせて絶頂に達すると、彰人の性器をきゅっと強く締めつける
彰人:強すぎる締めつけに耐えきれず、杏の胸を鷲掴みにしたまま最奥を強く一突きすると、欲望を全て注ぎ込むように杏の中で絶頂に達する
~数分後~
杏「……う、ん…………」
彰人「お、目が覚めたか……?」
杏「え……? あ……彰、人…………」
杏:いつの間にか眠りに落ちていたようで、彰人のベッドで目を覚ますと、隣りで横になっている彰人の顔をまじまじと見つめて固まる
彰人「……おい、まさか記憶をなくしましたなんて言わねえよな。マジで合意の上じゃありませんでしたとか、言い出すんじゃねえぞ」
杏「……ち、違うって! そんなこと、言い出すわけないでしょ……!」
彰人「だったら、なにをそんなに驚いてるんだよ」
杏「お、驚いてるんじゃなくて……うぅ……っ」
彰人「なんだよ、さっさと言え」
杏:困ったように眉を下げ、恥ずかしそうに目を泳がせるも、すぐに彰人の胸元に顔を埋めるようにして勢いよく抱きつく
彰人「……!? お、おい、杏……?」
杏「どーしよう……彰人と、エッチしちゃった……」
彰人:一瞬ムラリと興奮するも、杏の背中に腕を回すとぽんぽんと優しく背中を撫でる
彰人「もしかして、恥ずかしくて顔を隠してんのか……?」
杏「当たり前でしょ……もう、あんたの顔、見れない……」
彰人「大袈裟なんだよ」
杏「こはねの顔も、父さんの顔も見れない……」
彰人「おい……」
杏:ハッとしたように目を見開くと、突然彰人の体を押しのけるようにして体を離し、ガバリと起き上がる
彰人「……!? あ、杏……?」
彰人:驚いて目を見開きながらも杏に続くように体を起こすと、肩を掴もうとして杏に向かって手を伸ばす
杏「ど、どうしよう、彰人……!」
杏:突然、頭を抱えて叫びはじめる
彰人:伸ばしていた手をびくりと震わせると、行き場を失ったように、その手を空中でピタリと止める
杏「こはねに……父さんに……今日のこと、なんて言えば……!?」
彰人「いや、誰にも言わなきゃいいだけだろ」
杏「あ……そ、そっか……」
杏:安心したように胸をなでおろすと、再び横になる
彰人:杏の動揺が落ち着いたことに安心すると、杏の隣りで横になる
杏「あれ? このシーツ、さっきと色が違うような気が……」
彰人「ああ……血がついてたから、お前が寝てる間に取り換えといた」
杏「……っ、ご、ごめん……」
彰人「謝ることねえって。それより、本当に初めてだったんだな」
杏「は? ちょっと、彰人……それどういう意味? 殴られたいの?」
彰人「怒るなよ、ただの冗談だろ」
杏「あんたね、言っていい冗談と、悪い冗談ってのが……!」
彰人「……ったく、ごちゃごちゃとうるせえな。それより、もっと近くに来いよ」
杏「~~~~っ!」
杏:納得がいかない様子で眉根を寄せながらも彰人のほうに近づくと、彰人が伸ばした腕の上に頭を乗せる
彰人「腕枕してやるから、機嫌直せって」
杏「今度、今みたいな最低な冗談を口にしたら、父さんに今日のことを話すからね……」
彰人「あ? 話せるもんなら、話してみろよ。さっきは、今日のことなんて言えば……なんて言って、慌ててたヤツが、一体なにを……」
杏「~~っ! うるさい……!」
杏:近くにあった枕を彰人の顔にぶつける
彰人「……ってえな、なにすんだよ」
杏「彰人の腕枕なんていらない、この枕で十分だって言ってんの……!」
杏:彰人に背を向けると、彰人にぶつけた枕を頭に敷いてふて寝する
彰人「おい」
彰人:拗ねたように自分に背を向けた杏に向かって手を伸ばすも、伸ばした手を後頭部に移動すると困ったように頭をかく
彰人「……ったく、世話の焼ける女だな」
彰人:杏の背後から腕を回して抱きしめる
杏「……」
彰人「悪かった、許してくれ……」
杏「はぁ……人のことバカバカって散々言っといて、あんたもバカだよね。本気で怒ってるわけ、ないじゃん……」
杏:頬を染めながらそう言うと、背後から回ってきた彰人の手に指を絡める
彰人:珍しく素直な態度をとる杏の後ろ姿を見つめると、物憂げに目を細める
彰人「そんじゃ、このまま一緒に寝て……明日は別々に登校するか」
杏「一緒に登校したら、付き合ってることがバレちゃうもんね。……でも、いつか周りの人達には話してもいい?」
彰人「……ったく、勘弁してくれよ」
杏「彰人も、冬弥に……」
彰人「ぜってえやだ」
杏「ずっと隠してはおけないでしょ。私は、こはねや父さんに話すから……だから、彰人も……」
彰人「……! ……ダメだ。他の誰に言ったとしても、謙さんにだけは絶対に言うなよ。お前に手を出したことが知られたら、店を追い出されるだけじゃ済まねえからな……」
杏:キョトンとした表情を浮かべると、すぐに彰人と対面するように向きなおり、いたずらっぽい微笑みを浮かべる
杏「さっきは、話せるものなら話してみろとか言ってたくせに。まさか、いつも悪ぶってるあんたが、うちの父さんを怖がるなんてね」
彰人「男なら誰だって、彼女の父親は怖えんだよ……」
杏(あ……いま、彼女って言った……)
杏:改めて彼女だと言われると照れてしまい、ぽっと頬を染める
彰人「お前こそ、オレがお前のことを母親に話したらどう思うんだよ」
杏「え? なにそれ……超キモイ……」
彰人「おい……」
杏「あはは、今の彰人の顔~! すっごい顔してたよ!」
彰人「お前な……」
杏:彰人の胸に顔を埋めるように、ぎゅっと抱きつく
彰人「……!」
杏(いつかって言ったけど、明日にでもこはねに話して、この仏頂面を困り顔にさせちゃうのも、いいかもね……)
〜終〜