未定亜白隊長の横で笑う先輩の顔は、とても嬉しそうで。
声をかけようと開けた口をそっと閉じた。
「何も言わんでええの?」
不意に背後から聞こえた声に、心臓が跳ねた。
「…保科副隊長」
「好きなんやろ?」
全て見透かされている。
この人に誤魔化しはきかない。
…もう、良いか。言っても。
市川は小さく息を吐いた。
「…好き、です」
「ほなら」
「だから、先輩には、幸せになってほしいんです」
それは、本当に。
先輩の笑顔が、すごく好きだから。
「なので、副隊長には悪いですが、協力できません」
「ん?」
「だって、保科副隊長は亜白隊長が…」
「ああ、そう思ってたんやね」
「え?」
「僕も、市川を応援しよう思っとったけど」
突然距離を詰められ仰け反る体を、保科は更に市川の肩を掴み引き寄せる。
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