ワンドロ Δロド「おわ」
「うわっと」
出会い頭、二人の声が重なった。
つづいて、ギュッと肩をつかまれる。
細すぎる私の体は、それでもう動けない。
ロナルド君のあったかい手が私の肩にかかっている。
私より少しだけ背が高くて、体の厚みは比べ物にならない男。
彼……高等吸血鬼ロナルドのイヤミなくらい端正な顔がばばーんとドアップになる。
「あー……、あはは。私ちょっとぼーっとしてたみたい」
「……」
ロナルド君は答えない。
じーっと私の顔を見つめている。
……気まずい、何か喋ってほしい。
私はあったかい掌に掴まれた肩が、だんだん居心地悪くムズムズしてくるのに耐えた。
実を言うと、ちょっとだけ罪悪感があるのだ。
私は今、わざと彼にぶつかろうとしてしまったから。
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