一九〇メートルの青春 青春の大きさは一九〇メートルである。
ひょんなことから身体の大きさが一九〇メートルに化けた悟と傑は最初こそほとほと困り果てたが、悟が持ち前の明るさで「せっかくだしこの身体でしかできないことしようぜ」と言うものだから、傑も考えることをやめて悟に賛同した。
この巨体ではなにをしても、控えめに言って災害だった。しかし不幸にも、悟と傑はふたり一緒なら箸が転がっても大笑いできるお年頃だったから、特撮映画よろしく街を破壊しながら遊んでいた。
「ちぇ。なーんだ。普通に東京タワーよりは小さいじゃん」
悟は赤い塔の先端を見上げながら残念そうに言う。
「そりゃあ、東京タワーは三三三メートルもあるからね」
「俺たちっていま何メートルあるの?」
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