親友が父親の嫁として同居することになった。 この世界には、女性/男性のほかに、α/β/Ωという第二の性がある。
(中略)
なんやかんやあって、いきなり父さんがピーターを嫁に貰うとか言い出した。結婚式とか、そういった手続きをすっ飛ばして、攫うように、我が家にピーターの部屋を用意して招き入れた。
そうして、俺の、想い人とひとつ屋根の下に暮らすという夢のような、想い人が義母になるという悪夢のような生活が始まった。
かわいい。
朝から、ピートがかわいい。
寝癖つきのパジャマ姿で、寝ぼけまなこをこすりながら、バスルームへ行くなんて無防備なところを見られるのも同居してるものの特権だ。これは、バスルーム付きのゲストルームをピートの部屋にしなかった父さんの功績だと思う。
我が家に来た当初、ピートにはシルクのナイトガウンが寝巻として渡された。慣れない代物に困ったピートに、着方のレクチャーを頼まれたのは役得だった。翌朝寝乱れたあられもない格好で部屋から出てきたピートに遭遇して倒れなかったことを誰か褒めて欲しい。シルクのナイトガウンの肌触りと着心地が落ち着かないと主張したピートによって、寝巻がパジャマになったのは大変に残念だったが、寝起きのピートを朝から堪能できるなら、その服装に物言いを付けるのは贅沢が過ぎるというものだ。
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誰もノーマンさんの嫁とは言っていないのであった。
ハリーの許嫁として、ツバつけとこ。くらいの感覚で書生さん的におうちに連れてきたやつ。
ハリーがこの調子では、いいとこでラッキースケベ止まりですな。