無題前日神獣を鎮め、今日はハテノ村の家でゆっくり過ごしていた。
特にすることも無いので、トワは本を読み、オレは剣の手入れをしていた。
天気が良いほのぼのとした昼下がりのことだった。
「そういえばリンクって家族いた?」
「…え?いや普通に居たけど…」
突然トワから謎の質問をされて一瞬戸惑う。
一旦オレは手入れしていた剣を机に置き、トワの瞳を見つめた。
たまにトワはオレに何か聞いてくる。
この間は好きな食べ物だった。その前は好きな動物だったけ。
この場のトワはいつもと違う雰囲気をまとっている。
どこか寂しげな。誰かを求めるような。
自分のことを話さないトワのことを少しでも分かりそうな気がするから、オレはこの場が好きだ。
「へぇ…兄弟とかいた?」
「うん。妹が1人いた。あと母さんは居なかったけど、父さんなら居たよ」
話している自分の声のトーンが上がっていることに気がついた。
妹はオレの髪を弄ることが好きだったみたいで、よく三つ編みにしたり結んだりして遊んでいた。父さんは厳しかったけど優しかった。
その記憶を思い出して少し笑みが出た。
「良い家族だったんだな。100年前のお前にも休憩場所があって良かった」
トワは安心したような声でいった。どうやらトワは心配をしていてくれていたらしい。
「そういえば、トワって家族いた?」
森の中の小さな村に住んでいることは聞いていたが、家族のことは何も聞いていなかった。
「…いたよ。多分ね」
「え?多分って…」
「あれ?居たっけ?いや居たような…」
「…」
はなから答える気は無かったようだ