Fish on the table「……なにこれ」
帰るなり機嫌の悪い声が、頭上から降ってきた。
見上げた箕作は呆れた様なイライラした様な表情でローテーブルの上に視線を注ぎ、半分潰してあったりそうでなかったりする空き缶を横目に肩からブランドロゴの入ったショルダーバッグのストラップを外した。目の前のソファーへ乱暴に投げ置く。
目も合わせずに通り過ぎて、ややあってキッチンの方から水音が響いた。帰ると必ず一番初めに手を洗う。雑なのか神経質なのか、濡れた手をキッチンペーパーで拭き取りながら戻ってきた箕作はラグの上に座る俺の横を通り過ぎて、ゴミ箱へとペーパーを放った。片手を腰へ当て、見下ろした目がこちらを一瞥したかと思うと、それは逸らされて再びテーブルの上へと戻った。
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