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    @conishi524

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    現パロ
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    キンキンに冷えた店内からイッポ外へ出ると、突き刺さるヨウな痛みがハダに走る。朝並んでいたトキにはチョード日陰だった店の前は、正に見る影もなく。
    小さな商店街の真ン中にあるパチ屋は近所のジーサンバーサンが菓子を分け合いながらワキアイアイと打っていて、オレもそのオコボレに預かれるから気に入ってる。だが駅までの道中は軒並み低い建物ばかりで隠れる場所がなく“海”にスッカリ絞られ軍資金が尽きたオレは、暑さに負け手元に残った百円二枚を自販機に放り込もうとポッケをまさぐった。
    そのトキ、グウウとハラのムシが鳴き空腹を思い出す。
    朝イチでババアがくれたマンジュウやらセンベイやらを食っちゃアいたが、現在時刻は十五時過ぎ。トックに消化されきってた。
    ポッケを叩くとチャンチャンと微かに音がする。あと二十円ありゃあ、ヒャッキンで食いモンと飲みモン両方買える。オレはコレに賭ける。

    「オッ……………………」

    十円、その下にあるのは…………五円。

    「チッ……………………ハア~~…………」

    消費税…………何で十パーになっちまったンだ、クソッタレ。(※八%でも買えない)
    ソレだけじゃねエ。自販機のジュースも軒並み値上がりしてやがる。少しバカリウロついて、ヒャクエンで買える自販機を探すか……。そしたら残金百十五円、食いモンにも手が出せる。
    ポロンポロン
    遠くからメロディが聞こえる。電車の発車音だった。ソレでオレはスグにピンと来た。
    確かコッからシバラク歩けば、別の路線があったよな。二、三駅行ったトコロで、確か直哉がバイトしてたハズ。
    最適解を見つけたオレは、チョードそこいらを巡回中のマッポのチャリの前に飛び出して道を聞き目的の駅に向かい歩き出す。サンダルが乾いたアスファルトでサリサリと擦れる音がする。服の下まで日差しが刺してくるヨウにハダがチリリと痛んだ。

    「ァアッチィ~~…………」















    二十分そこらのキョリが永遠にも思えた。オレは多分死んだら地獄行き超特急だが、地獄がこの真夏の炎天下のアスファルトの上を歩くよりもキツイ場所だとしたら今から真人間になろうと思う。
    キップを買ってホームの日陰で電車を待つ。日陰と言っても屋根があるだけで吹きッ晒しのホームは外と大して変わらずハダがチリチリ痛むホドに暑かったし、湿度も高く不快感MAXだ。しかも、平日の昼間は電車の運行本数が少なく、ナント五分も待たされた。
    やっとホームに滑り込んだ電車はノロノロと徐行して、オレはトビラが開き切るのも待てず肩をブツけながらカラダを捩じ込んだ。
    ムワ…………外よりもキツイジメッとした空気をガンメンに受け思わず目を瞑る。ポツポツいる車内のニンゲンはコメカミから汗をタラタラ流しながらスマホをイジッてる。
    オレは自分が入ってきたドアを振り返った。

    弱冷房車―――――!!

    急いでトナリの車両に移動する。ていうかあの車両にいるヤツら全員ドッカおかしーンじゃねエ?クッセーんだよ…………。
    冷たすぎるくらいの空気に全身を包まれて、あ~コレコレとドッカリ座席にコシ掛けようやくヒトイキ吐く。つってもあと二駅で降りるンだが。ポッケに入れてたキップでスウェットのズボンのケダマをカリカリカリと引っ掻いてヒマを潰した。
    ネツが引いたコロに目的駅に着く。
    降りたくねエ~……笑
    だが、電車内は涼しくはあるが食いモンも飲みモンもねエ。
    仕方なしにチンタラ電車を降りる。ムワ……ジリジリ……十分ぶりの熱気にイッキに気力を持ってかれた。
    アーア、家に帰って寝てりゃよかった……。
    グウと文句を言うハラだけが、オレの意思に唯一逆らってる。改札階へ階段を使う気力もねエ。カベによっかかってエレベーターを待つ。エレベーターからはベビーカーの親子連れが降りてきて、ボーッと待つオレに気付きギョッとして足早に去って行く。
    エレベーターに乗り込むとまずトビラの閉まるボタンを連打した。コレが効率重視の生き方だ。トビラが閉まりだしたコロに向こうからツエをついてくるババアが明らかにコッチを目指していたのでカチカチカチと何度も閉じるボタンを押す。もうゼッテエ間に合わねエとなってから改札階のボタンを押した。
    ちょうど反対側で電車が着いたのか、改札前は人が行きかっていて更にイライラが募ってくるのがわかる。人混みに紛れヨウヤク辿り着いた改札がキップ非対応で、オレはとうとう改札を蹴っ飛ばした。
    駅員がコッチに来る前に、二個トナリの改札に割り込んでキップを通し駅の階段を駆け下りる。
    思い出したが、コッから直哉のバ先まで五分くらいある。最悪だ。
    ノドはズ~ットカラッカラに乾いてるが、キップを買ったから手持ちはもう十五円しかねエ。
    デカイ道路の向かって右側に目的の店があるが、時間のカンケイ上ソチラには日影がない。

    「…………あ~~~~メンドクセッ」

    もーいーや。
    五分なら、走れば一分だろ?信号待ちの時間がダルすぎる。オレは歩行者信号が変わった瞬間に走り出した。抜かしたヤツらが上げる短い悲鳴がホンの少しダケ溜飲を下げる。
    ボッした歩行者共を軽く避け、ヨウヤク、ヨウヤク目的地に辿り着く。
    入口は、店内の空調を維持するため二重扉になっている。手前のガラス戸を乱暴に開け、ユックリ開く自動ドアにイライラしながら電車のトキ同様店内にカラダを捻じ込んだ。

    「ア~~~ッチィッ!!」

    静かな店内にオレの吠えが響く。ミナ一瞬コチラを見たが、オレの風体を見てスグサマ目を逸らす。
    スウェットのソデでヒタイの汗を拭いカオをレジに向けた。

    「トージクン、何?デカイコエ出して」
    「…………………………」

    直哉は呆れた表情を隠そうともしない。
    ココマデ来るのにオレがドレだけ苦労したかも知らずに……。

    「涼しいトコで突っ立てるダケのオマエにはわからねエだろうな…………」
    「なんソレ…………ご注文は」

    ようやっとメシにありつける!
    冷房ガンガンの店内でカラダはアッと言う間に冷やされたがノドの渇きは潤さねエとな。

    「レイコ。イチバンデカイヤツな。あとハラ減ったからなんか食いモンも」
    「ふうん。金あるン珍しな。勝ったンか」
    「え?ねエケド」
    「…………………………」
    「ねエから来たんじゃん」

    直哉は無言でケツポケからペラペラの財布を取り出しカードで精算した。

    「まさか歩いて来たンか?」
    「駅からはな。イヤマジヤベーよ今年のナツ。毎年言ってッケドよ……笑」
    「タクシー使えや…………自分こないだ熱中症でブッ倒れたのもお忘れたんか?」

    ウシロに客がいないのをイイコトにダラダラと会話は続いた。

    「…………あの日はたまたま、寝てなかったからだろ」
    「ちゃうやろ。徹マンして、そのまま飲まず食わずで炎天下にパチ並んどったからやん。自分百キロあんねんで。次倒れても迎え行かんからな。黙ってタクれや」

    先週頭に、今日とは別のパチ屋の新台入れ替え日で早朝から常連のジジイ共と待機してたトキのコト。
    ソコのパチ屋は店の周りにグルリと列を作るんだが、夏場の午前中は入口付近に日影がなく、ミナ文字通り生死をかけて並んでいる。民度が低く列を離れヨウモンなら私物は盗まれるし列も抜かされる。そんな地域だった。
    知り合いでもいない限りソコで待機し続けなければならず、始めこそパチンコのハナシや女房のグチに沸いてたジジイ共も、日が昇るにつれ今にも死にそーなツラになっていく。
    その日も猛暑で、しかも夜の内に振った雨のせーで湿度は高く、前後のジジイはオレにコヅカイを渡し涼しい喫茶店へ避難していった。
    イザ開店時間になりオメアテの台に嬉々として並んだオレは、善行を積んだオカゲか数時間後には大フィーバー。脳汁ドバドバのバカウルセエBGMと激アツ演出で笑いが止まらん状態になっていた。LUCKYジャンケンからのビッグクラブ様登場でBIG 3000 BONUS!昇格に次ぐ昇格で笑いが止まりませんよコリャア……。
    続けて打ちたいトコロだが、夏はG1が控えてる。お舟の方の。どうせならこの金で愛知遠征アリか?久しぶりにどて丼食いてえしな~!
    ホールスタッフを呼び出玉を計測させる。『特殊景品』を受け取り店を出て、何故かチョードヨク近所にある黄色い看板に並んで『特殊景品』と現金を交換してもらった。
    ウダツの上がらねえ若者やくたびれた服を着たジーサンバーサンで盛況しており、列でシバラク待たされる。ニンゲン、大勝ちしたトキは寛容になれるよな。イイよイイよ、ユックリやんな……笑
    金をフトコロにしまいポッケから二つ折りのケータイを取り出す。大勝記念に直哉に奢らせよう。リレキから呼び出してコールを数える。1、2、3、早く出ろよ、4、5、6、一旦切るかア?流石にアチーわ、7、8、…………、
    オレが覚えていたのはソコマデ。
    気が付いたら、ビョーインのベッドの上に転がされていて、点滴をブッ刺されていた。病室内はカーテンが閉められており時間もわからない。しかし周囲から物音がしないコトを考えると、多分、夜だろう。
    チェストの上にはケータイが転がっていた。手を伸ばして開く。…………21時。
    ヤケに重いカラダで寝返りを打ち、リレキを見ると、同じ名前がズラズラズラ~と一分も空かずに並んでいて思わずウゲエとクチに出す。

    「起きたンか」

    ギシと音がしてトナリのベッドのカーテンが開く。薄暗い室内でもヨク見える目が見覚えのある、ありすぎるスガタを捉えた。

    「直哉ァ?」
    「ボケてンなア」

    ムリないか、と呟いて病室なのにタバコに火を点ける。ライターの鋭い火がタバコを銜えた薄いクチモトの陰影を濃くし、スグに消えて、その後にポツンと赤い点がヒトツ浮かび上がる。見ていたら急激に吸いたくなってきて起き上がろうと身じろいだ。

    「寝とけ、ビョーニン」
    「オレも、タバコ」
    「まず水飲めや。そないやから熱中症でブッ倒れンねん」

    直哉はガガガと何か、多分イスを引いてベッドの近くに座った。トントンと明らかに灰皿ナドない場所でタバコを弾く。真っ赤なタバコの火がチョンチョン揺れた。

    「………………熱、中、症」
    「そーそ。パチ行ったの覚えてヘンの」
    「あ?あー…………そうだ、勝ったからオマエに奢らせヨウとしてエ」
    「なンでやねん。勝ったンなら奢れや」

    直哉はタバコを銜えてチェストの上のペットボトルを手に取りキャップを外した。そうして、スーーーと深く吸ってから床にスイガラを投げアシでにじる。まだ長いのに。
    空いた片手をオレのアタマの下に入れて持ち上げ、ペットボトルをクチモトに寄せる。

    「自分代謝エグいねんから、夏場は気ィつけェ言うとったやろ。ホンマ言うコト聞かんなア」
    「……………………」

    半分くらい飲まされて飲み口が離れていく。追いかけようとすると、ヒタイを手で覆われて制された。イッキに飲むなと言われてメンドクささを感じる。

    「明日退院な。迎え来るから勝手にドッカ行くなよ。ま~たブッ倒れてデンワ掛かってきたら堪らんワ」
    「帰ンの?」
    「ベッド硬いねん。寝付けヘン」
    「じゃーコッチ来れば?寝なきゃイイんじゃん」
    「……………………」

    ノド渇いた、と誘うと直哉はベッドに乗り上げてきてオレの舌とか、ナニとかを散々シャブッた。抜かれて出たモンをクチに含んだままキスされてキレたら直哉は大笑いして、そのせーでナースが駆けつけてきて二人してガチで怒られるハメんなったのだった。
    そしてソレから何週間?
    目の前の直哉はため息を吐いてオレをジロリと睨んでいる。あントキのナースのカオを思い出した。

    「……………………金ねーつってンだろ」
    「そんなん、外で待たせとったらエエやろ……自分暑さでアタマ回らンくなっとるやん。水飲んでる?」

    飲んでない。
    だってココに来る電車賃にしちゃったモン。
    オレがムスとクチを尖らせると呆れたカオで、アチラのランプの下でお待ち下さいィーと言った。関西弁丸出しのケーゴ。ダッサ。
    カウンターではチョード前の客がドリンクを受け取ったトコロで、スタッフがお次アイスコーヒーお作りしてまあすとアイツと違い愛想を振りまいている。目が合って、ニコとほほ笑むとオンナはパチパチと目を瞬いて、照れくさそうにほほ笑み返してきた。

    「お待たせしました…………ストロー差しましょうか?」
    「アリガト。気が利くンだな、サスガ女子」

    アイスコーヒーなんてアッという間に出来上がる。オンナのロコツなタイドに気分よく返してやると嬉しそうにニコニコしてる。

    「禪院くんの友達ですか?」
    「そう見えた?」
    「何ソレー笑 だって、すごい喋ってたから」

    話しかけてもアア、とかウン、とかで会話にならないし、連絡先も教えてくれないンだってサ。チッ、お高く留まりやがって。

    「イトコなんだー。連絡先も知ってる」
    「フフ笑 仲良いんですね…………じゃあ、今度三人で、」

    オンナがカップに何か書いてたのはわかってた。多分ー、電話番号かラインかインスタのID。アイツが風呂にでも入ってる間に勝手に登録してナリスマシてやろう。
    オンナの誘いに是とも否とも言わずエガオでカップを受け取ろうと手を伸ばした。

    「飲め」

    ドッ、とカウンターに底を叩きつけられたスポドリのボトル。
    オレの手とアイスコーヒーのカップのチョード真ン中、遮るカタチで図々しく鎮座するスガタは、コーヒーのカップを取り上げたエラソウなオトコにソックリだ。
    レジのホーを見るとカウンター内には誰もいなくて、並んだ客がキョロキョロとコチラを窺っている。

    「禪院くん、お客さん……」
    「返せよ」
    「飲んだら返す」

    直哉はカップに書かれた文字を見てゲェと舌を出した。オンナはソレを見て無言で去って行き、後にはオレと直哉と注文したそう
    な客だけが残る。
    ドコから持ってきたのか、ペットボトルは汗をかいていて水滴がツーと流れカウンターに溜まっていく。シバシ無言で睨みあったが、譲る気がないヨウスにハラが立ち去ろうとしたらすかさず手を取られる。

    「ホラ」

    ズイとペットボトルをヒタイに押し付けられて、ヒヤリと言う感触に自分で思っていたヨリ体温が高くなっていたコトに気付いた。コイツのヨミが当たってるのが癪に障る……。
    ビショヌレのボトルをバシリと奪い取りキャップを捻ったら、スデに一度開封されててアッサリフタが開く。マスマスイラついて、せめてもの反抗として五〇〇をイッキに飲み切った。

    「ップ……飲んだ…………食いモンは?」
    「ココじゃマンゾク出来んやろ。金やるから他で食えや」

    空のペットボトルとアイスコーヒーを勝手に交換されカップの間に万券を挟まれる。タクシー使えよと言い捨てて直哉はレジに戻って行った。
    ご注文はとあまりにフツウのトーンで聞かれたモンだから、待たされてた客も文句のヒトツも挟めずに思わずと言った感じに注文し始めた。ヨウヤクのソレに割り込み、ちょっと高い位置にいる直哉を睨みつける。

    「何時まで?」
    「…………十七時」
    「ふうん」

    待ってると言うと、直哉はイヤそーにドッカ入っとけと命令した。エラッソー。ムカついたから目を合わせたまま舌を出す。ベ。

    「タクシー、」
    「わったわった、タクッてドッカ入ってまア~す!」

    レジで待たせてた客に視線をやると、文句言いたゲだったケドビビッて言えないヨウで、カオを真っ赤にしてプルプルしていた。

    「コレやるよ」
    「えっ」
    「もーハラタプタプだからサア~」

    有無を言わさずアイスコーヒーのカップをカウンターに置き去りにして店を出る。
    ジリ、とハダを刺す日差しも、店内での悶着の間に少し弱まったヨウな気がする。濡れたテノヒラをズボンで拭ってその手を道路に向かって突き出す。場所柄タクシーはスグ捕まったが、運転手はオレのカッコを見て明らかにハズレを引いたと言うヨウなカオをした。

    「どちらまで」

    ソレでも義務を果たそうとする。日本人はマジメだァねエ……。早いトコ済ませて、もっと上客を捕まえたいのカモ。

    「近場のホテル。メシがウマイトコ知ンない?」























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