光の先の少年 【第一話】
水戸洋平の一番幼い記憶は、夜の森だった。家と家族を戦で失い、戦禍から逃れるうちにたった一人になってしまった彼は、木々の間をよろよろと進んでいた。星も月も夜の生き物たちも、ひっそりと姿を隠していた。宵闇は幼い子供を恐ろしいものから隠してはくれたが、もう限界だった。空腹と疲れと心細さで動けなくなった彼は、ついに膝をついた。
その時、ぼんやりと見えた光が何なのか、確かめる前に意識を失った。
四歳だったその日のことについて洋平が覚えているのはそれだけだった。それまで住んでいた場所も親の顔も名前も覚えていない。
気を失っていた小さな子供は通りかかった村人に助けられ、里に連れ帰られた。長年に渡る近辺での戦によって増え続ける孤児たち。その日から洋平も彼らと共に生活することになった。
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