影の落ちる廊下。直線的に伸びる白と黒のコントラスト。
その光景に風真もまた、幼い頃の記憶を蘇らせた。学校の帰り道、横断歩道の白い所だけを渡るという、ひどく単純な遊びだ。黒い所にはワニがいて食べられてしまう、などと、子供は空想とはいえ物騒な事を言う。『だめだよ、落ちちゃうよ』と思い出の中の幼い彼女が笑った。それは彼にとって懐かしく美しく、そして少しの切なさを携えた、記憶の欠片だった。
「どこ行きますかね。アルカードに季節限定のスイーツ出てる筈だし、ショッピングモールに新作チェックに行ってもいいし」
カザマはどこか行きたい所ある?と尋ねる声に応えが無く、七ツ森はもう一度、彼の名前を呼んだ。
「カザマ?」
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