いつもの100倍甘いチョコ「いっちごー。お菓子食べよ?」
2号が甘えた声で1号に話しかける。
2号の手には、箱に入った細い棒状のチョコがあった。
「ああ。1本もらおう。」
1号は箱から1本チョコを取って食べ始める。
すると、2号がもう1本のチョコをくわえて近づいてきた。
「ん?……どうした。何がしたいんだ…?」
「んー。」
2号は、くわえたチョコの先端で1号の唇に触れた。
そしてそのまま、1号に口を開けてほしそうにじっと見つめてくる。
「仕方ないな……。」
1号はため息をつくと、2号に顔を近づけていった。
そして、チョコのもう片方の端をくわえる。
それを合図に、2号がチョコを少しずつかじって近づいてくる。
そういうことか、と2号の意図を理解した1号。
少し期待しながら2号がキスしてくるのを待つ。
だが、すぐにそれは終わることになった。2号が途中で折ってしまったのだ。
「あはっ、やっぱり難しいや!」
2号は照れくさそうに笑うと、
「はいこれあげる!」と言って1号の手に箱ごとチョコを押し付ける。
「……まったくお前というやつは……」
逃げるように去っていく2号を追い、
ドアを開けられる直前にドアと自分の間に2号を追い詰める1号。
そして、深く口づけた。
「んぅ!?」
突然のことに驚く2号を抱きしめながら、舌を入れて更にキスを続ける。
やがて抵抗が弱まり、2号からも積極的に絡めてくるようになったところでようやく解放した。
「いきなりこんなことしたらダメだって……」
「こうしたかったんじゃないのか?」
「そりゃあそうだよ……でも……」
「ならいいだろう?」
「う~……」
俯く2号の頭を撫でると、彼は恥ずかしそうに目を閉じた。
「……じゃあ、もう一回だけだよ?」
「ああ。今度は私からしてやろう。」
1号はチョコをくわえ、2号にもう一方の端をくわえさせる。
1号は器用にチョコを少しずつかじり進めていく。
2人の唇の距離が近くなるごとに、2号がぷるぷると震えていた。
「ん、んぅ…。」
「あと一口だ。」
焦らさないで、と言わんばかりに潤んだ瞳で見上げてくる2号の視線を感じながらも、
あえて最後までかじらずにいる1号。その顔はとても楽しそうだ。
「むぅ……ふぁ……。」
結局我慢できず、先に折れてしまったのは2号だった。
2人は名残惜しそうに離れる。
「もう無理ー。なんでそんなに焦らすのさ。」
「お前の反応が可愛いからだ。」
「もぉー!!」
2号は顔を赤くしながら、再びチョコを手に取った。
「はい、あーん♪」
そして、1号にくわえさせたチョコを自分も食べ始める。
(これは……なかなか良いものだな…。)
背徳感のある遊びを知ってしまった1号。
その日はずっと2人でチョコを食べさせ合っていた。