ガンマをしまえ!!ヘドたち3人が住んでいる、カプセルコーポレーションは台風の危機にさらされていた。
外では雨風がゴーゴーと激しい音を立てている。
「いいか、1号、2号。今日は見張りの仕事はなしだ。見ての通り危ないからね」
「えーー。ボクたち多分台風くらいどうってことないですよ、博士」
「……」
(確かに暴風や大雨くらい平気かもしれないけど、万が一のことがあったら……)
ヘドは何も言わずに、窓の外をじっと見つめていた。
バタン! と扉が勢いよく開かれる。
「うわっ!?びっくりしたぁ……。」
そこには、びしょ濡れの1号が深刻そうな表情を浮かべて立っていた。
「1号どうしたのさ、そんなに濡れて」
「2号。試しに外に出てみたが今日は本当に危険だ」
「そんなに危なかった?」
「ああ。これを見てくれ」
「「うーん……?」」
2人が1号に近づくと、丈夫なはずの彼のトサカがひしゃげていることが分かる。
「1号、どうしてこんなことに……」
ヘドは1号の状態を見て、愕然としていた。
「分かりません。ただ、暴風で何かが飛んできて当たってしまったのは確かです」
「とりあえず、他に問題がないか一旦検査しよう」
「はい」
検査の結果、1号の内部に異常はなかった。
トサカはしばらく直せないらしい。
「問題なしでよかったね、1号。でもなんで外に出たのさ」
「私たちの身体は頑丈だから耐えられると思い、外の見回りに行ったんだ」
「ボクも同じこと思って外出ようとしてた」
1号と2号がそう話していたところに、ヘドも戻ってくる。
「2人ともダメだろ、こんな危ない日に外に出たら」
「申し訳ありません……」「ごめんなさい……」
1号と2号はしゅんとする。
「いくら頑丈なお前たちの身体でも、当たりどころが悪かったら故障するかもしれない。もうお前たちに無茶をさせたくないんだ」
ヘドの脳裏に過ぎるのは、セルマックスと戦ったあの日のこと。
あの日消滅してしまった2号は神龍の力で蘇った。
しかし神龍の力で蘇ることができるのは1回だけ。次に死んでしまったら、もう……
3人を取り巻く空気が重くなる。
「あー……。よし、今日は1日お休み!パーっと遊んじゃおうか!」
「「はい!」」
***
3人はババ抜きをして遊び始めた。
何度繰り返しても2号は負けてしまう。
「だーーっ、また負けたー!!博士トランプ強すぎますー!!1号も!!」
「そんなに表情をころころ変える2号が弱いんじゃないのか」
「そ、そんなわけないだろ!?ボクはちゃんとポーカーフェイスしてたって!」
「ちょっと2人とも落ち着いて!」
ギャーギャーと言い合う1号と2号。
ヘドが思い返してみると、2号は自分の元にジョーカーが回ってくるたび目を見開き動揺していた。
(これじゃ勝てるわけないよなぁ……)
ヘドが苦笑いしていると、2人の言い合いはまだ続いていた。
「じゃあ、今度はジジ抜きにしようか。どれがジョーカーかわからないからスリル満点だぞ?」
「いいですね!面白そう!」
ジジ抜きにルールを変えた途端、2号は連勝し始めた。
「すごい!ボクやっぱりトランプ強いかもー!」
3人は深夜までずっとトランプゲームを楽しんだ。
(おわり)