Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    有島 乙芭

    @arishima_kth

    ※R18話はXのフォロワーさま限定公開
     たまにR18サンプルとして限定解除
    ・全年齢部分は全体公開します
    感想はこちらからでも↓
    https://wavebox.me/wave/5gw094qksrpjxymq/

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 1

    有島 乙芭

    ☆quiet follow

    ◆本編▶︎https://kakuyomu.jp/works/16817330652084933686
    ・今回の前編は固定ツイートにもあります.(近々固定解除)
    ◆後半部はホワイトデーまでの期間限定公開
     ▶︎ホワイトデーの後、FANBOX/プチプランに移動します.
    ▶︎前編はツイノベとほぼ同じ内容。後編増量追加のため、加筆修正.
    ・リアクションいただけるとポイピク投稿しやすくなるので、ぜひ……

    #佐藤は汐見と番いたい〜
    #佐藤x汐見
    #佐藤の誕生日記念ツイノベ
    #砂糖の日
    #創作BL小説
    creativeBlNovels

    佐藤の誕生日(11/17)SS(ツイノベ)前編3月10日「砂糖の日」記念も兼ねて……

    【Side ♠️ Sugar】


     俺は今、目の前の幸せを噛み締めている────

     汐見と同居……ちがった、同棲生活を開始して1ヶ月半が経過。
     今日は俺の誕生日だ。
     思えば片想い期間が長すぎた……7年半だぞ?!  俺ともあろう者が……いやまぁ、相手があの汐見だからな。
     そもそもの話だが、男同士だからとか、親友だからという理由で俺が直接何も行動に移さなかったことが原因だし、今考えるとあの状況では仕方なかった。

     とりあえず今日は週末休み前の平日だが、俺は今、会社から直帰している。
     汐見が出向という形で別会社になり、同僚とは言い難くなったが、汐見と一緒に暮らしてみてわかったことが結構ある。

     走るのは早朝だと聞いていたから朝に強いのかと思ったらそうでもないこと。
     寝起きはさらに目つきが悪くなること。
     本人が見えにくいところに寝癖がつくこと。
     それを直すため、起床直後から蒸しタオルを頭全面に被ること。
     酒を飲まなくても寝つきは悪くないし寝相も悪くはないのに、どうしたらそうなるんだという方向に捻じ曲がった寝癖がつくこと。
     夜の筋トレは欠かさないが、朝ランは前日早めに帰った時だけにしていること。
     転職したばかりの会社で残業続きのおかげで体脂肪率が最近増えたと嘆いていること。などなど。

     デスクワークの癖になんでそんなに鍛えてるんだと聞いたところ「腰痛防止と贅肉予防」ということらしい。
     見た感じ、そんな風には見えなかったから意外だと思ったら
    「磯永の前にいた新卒で入ったブラック会社で、体重が半年で10kg以上増えて元に戻すのに時間がかかった。ストレスでドカ食いする癖がついてたから生活習慣を変えるのも一苦労だったし、何より、リバウンドしたくない」

     確かに、俺よりも肉付きが良い汐見は筋肉の上に適度に脂肪が乗っているため肌に張りがあり、弾力もあって触り心地は抜群だ。
     ただでさえダイナマイトボディなのに、俺みたいな男が寄ってくるだろう、と心配で仕方ない。
     本人にそう伝えると
    「お前みたいな特殊性癖のやつがそうそういるかよw つか、なんで心配するのは同性なんだ」
     笑い飛ばされた。
    〝いや、いるんだって!〟と心の中で盛大に突っ込んだ。
     初めて一緒にミックスバーに行った時、店内の客全員がお前の身体のラインを舐めるように見てたの、気づかなかったのか?! と問い正しかったが、汐見が無自覚な方が悪い虫を寄せ付けないだろうと思った俺は、言わないでおくことにした。
     面と向かって告白さえされない限り、汐見は好意に気づかないから。
     しかし、あの時の他の連中の顔……まぁ、それはいいか。

     今夜のメニューはもうすでに決まっている。

     汐見の好物のローストビーフは3日前から仕込んで今日が食べごろだし、前菜のサラダ2種もカボチャを潰したスープの仕込みも万全だ。
     少し上等な辛口の赤ワインも用意したし、バースデーケーキは行きつけの洋菓子店で特別に佐藤控えめにしてもらった。
     ん? 俺の誕生日なのになんで俺が用意するのかって? 決まってる。
     今日は俺自身の誕生日であると共に<春風>が汐見の前に現れる前にいい雰囲気だった誕生日のやり直しでもあるからだ!
     時を戻すことは不可能だ。
     だからこそあの日できなかったことをやり直す。
     今日をバースデーリベンジの日にするんだ!

     俺は鼻息荒く、自分のマンション=汐見との愛の巣に帰ってきた。
     お昼頃、先に帰ってる、とLIMEで連絡があったのに
    「あれ? 汐見?」
     マンションのオートロックパネルで部屋のインターホンを呼び出しても応答がない。
    「え? なんで? さっきLIMEで……」
     嫌な予感がした俺は、オートロックキーを解除しつつLIMEの通話ボタンを押す。
     すると数秒後
    『んぁ……佐藤?!』
    〝あぁ……よかった。 なんだ、寝てただけか……〟
    「帰ってるよな? インターホンに返事がないから」
    『あ〜……すまん! 佐藤! 今、会社で……』
    「へっ?!」
    『いや、午後上がりで帰ってたんだ。 ただ、その後にサーバーダウンで飛んだデータの復旧で呼び出されて……』
     俺は何かが萎んでいく音を聞きながら、汐見が今の会社で重用されていて嬉しい、誇らしい、さすが俺の汐見、と思いつつ
    〝今日くらい俺を優先してくれてもよかったんじゃないか……〟
     若干恨めしく思った。
    「そ、っか……何時くらいに帰れそうなんだ?」
    『それが…………』
     もう想像がつく。その先の言葉を聞きたくなかった俺は
    「あ、いや、いい。 仕事なんだから仕方ないよな。 気をつけて帰って来いよ?」
     無理に明るい声で取り繕った。
    『あ! おい! 佐藤!』
    「帰る前に連絡くれよな」
    『佐藤! すまんッ!!』

     仕事の虫だし、転職したばかりで環境に馴染もうと必死になってる汐見に水を差すようなことは言いたくない。
     たとえ恋人同士になったとしても、汐見の境界を越えるのは御法度だと思ってる。
    〝汐見もそう思ってるはずだしな……〟

     その境界線が、親友を超えても踏み込むことが出来ない事実に凹みながら俺は今日のディナーメニューを考えていた。
     部屋に入ると、ディナーメニューの大半は冷蔵庫内にタッパーで保存されていて、ほぼそれを温めるだけで良い状態だ。
    〝温めるのは汐見が帰ってきてから……〟
     一抹の淋しさを感じつつ、でも気を取り直した俺は、風呂に入ってから、リビングでくつろぐ体勢に入った。

     今日は通常の金曜日の夜だ。
     同じ建物内で勤められなくなった俺は、汐見と居られる時間を最大限に増やそうと、最近は金曜日の飲み会もあまり行かなくなった。汐見にはそれは行って来い、と言われているが……俺は全然気乗りがしなかった。

    〝俺の世界に汐見だけで、汐見の世界に俺だけが居られればいいのに……〟
     汐見と両想いになってからというもの、そんな思考が日常的に俺の頭を支配している。あまり良くない傾向だとは思うが、これが依存なんだろうか。
     リビングのソファに座り、金曜夜のバラエティ番組を見るとはなしに見ていた。


     数時間後────


     俺はいつの間にか寝ていたらしい。
     カトラリーがぶつかり合う小気味良い音で目が覚めると
    「汐見っ?!」
     スーツから着替えたんだろう、最近買ったばかりのVネックセーターを着ている汐見がキッチンに立っていた。
    「よう。起きたか」
    「い、いつ帰って……」
    「20分くらい前だな」
    「って、今何時!?」
    「……あと30分で日付変わる」
    「そ、んな時間まで……」
    「すまん、佐藤。お前の誕生日だってのに……」
    「そっ、れは……そうだけど……」
     汐見は冷蔵庫を開けて何かを取り出し、リビングの照明を消した。
    「Happy Birthday to you〜♪」
     異常に良い発音と低音で歌を歌いながら何かを持って俺に近寄ってくる。
    「?」
    「Happy Birthday dear Sato〜♪」
    「え?」
     それは、俺が一番贔屓にしているスイーツ店のバースデーケーキ。
    「Happy Birthday to you〜♪」
    「なんで?!」
     そのスイーツ店は電車で1時間かかる場所にあり、そのケーキは1ヶ月前から予約しないと購入できない逸品だ。
    「お前、これ好きだろ?」
    「っそうだけど! これっ! いつ?! 冷蔵庫に入ってなかった!」
    「お前が帰ってくる前に取りに行こうと思ってたからな、会社に行く前に受け取って、そこの冷蔵庫で保管してた」
    「!!」
     思いもよらない汐見からのサプライズに、俺は言葉を失った。
    「本当は、お前が帰ってくるのをオレが待つつもりだったのにな……すまん……」
    「そんなの! 仕事なんだから!」
     薄暗いリビングで立ったまま、大の男2人が仄かに光るバースデーケーキのロウソクに照らされてる光景なんて、側から見れば滑稽に映るだろう。
     だけど、俺の誕生日にこれほど積極的に汐見から動いてくれるなんて初めてのことで驚いたし、それ以上に……嬉しかった。
    「ありがとう……っ!」
    「礼を言うのはオレの方だ。最近は家事を任せっきりにして……本当に悪い……今日も……」
    「そんなことっ! これで帳消しだ!」
    「……そうか?」
    「っあぁ!」
    「じゃあ、誕生日プレゼントはもう要らないな?」
    「えぇっ?! あるなら欲しい!」
    「即答かよw」
    「〜〜〜っ! 後出しは卑怯だぞ!」
    「そうか?」
     ニヤっと笑う汐見の表情を見て、思わず笑みがこぼれた。
    〝あぁ……なんか、この空気いいな……友人じゃなくて【恋人同士】って感じだ……〟
     正直、関係が変わったからと言って【恋人同士がするようなこと】はそれほど頻繁じゃない。
     俺はいつでもできるけど、汐見はその……準備が必要で、いつでもってわけにはいかないからだ。
     それも重々わかってるし無理することでもないと思ってる。けど!
    〝甘い雰囲気になると、汐見がふっと離れるんだよな……警戒されてるというか……〟
     だから俺はその方面は焦らないことにした。なんていうか……タイミングは大事だし。

     本人も言ってたけど、汐見は淡白な方なんだと思う。
     俺自身もそうだと思ってたけど、俺の方はどうやらそうじゃなかった。そのことに気づいたのも、汐見相手には毎度欲情する(なんだったら直後に何度でも……)と明確に理解したからだ。
     我ながら30代にして性欲を抑えられないってどうなんだ、とは思ってるけどな。
     いつでも出来ると思えるようになったら却ってしたくなくなる……ということもなく、俺自身は、隙あらば汐見に性的な意味で触れたい。
     だから、家にいる間は──断ってからではあるが──同じリビングにいる時、嫌がられないようなら汐見にくっついて過ごしている。ちなみに、嫌がられたことはまだ一度もない。身体の一部が触れ合ってるだけでも安心するし癒し効果は相当高いと思う。
     だからってわけじゃないが、まぁ、頻度的には恋人同士としてはまだまだ、ってところで……前回から数えると……ひぃふぅ……2週間、してない。
    〝仕方ない……汐見は忙しいから…………今日は、そのつもりでいたけど、時間も時間だし汐見はどうなんだろうか?〟

     それも含めてチラリと視線を合わせると「吹き消さないのか?」と聞かれ
    「あ、テーブルに置いてから……」
     ケーキから先に食べるのか? と疑問が生じていたら
    「夕飯、食ったか?」
     聞こうと思っていたことを汐見に聞かれた。
    「いや、まだ……」
    「そうか……すまん……」
    「もう謝るなって」
    「だが……お前の誕生日に……」
    「もう、いいって。それより、な?」
     先を促すようにすると、汐見は持っているケーキに灯ったロウソクが消えないよう慎重に腰を落とし、2人並んでローテーブルの長辺に座った。
    「消すぞ」
    「あぁ」
     テーブル下に敷かれた大きめのラグは暖かく、隣にいる汐見とくっついているズボン越しの体温も伝わって、安堵感が半端ない。
     俺が勢いよくロウソクを吹き消すとリビングはもっと暗くなった。
     すると────
    「佐藤……」
    「ん?」
    「その……腹、減ってるか?」
    「んー、ピークは過ぎたかも」
     汐見が俺の左手を握ってきて
    「なに?!」
     動揺した俺がビクッと震えると
    「その……」
    「?」
    「準備、して……ある……」
    「? 何が?」
    「っそのっ!」
    「??」
     薄暗くて汐見の表情がよく見えない。
     だから俺は握られた片手をそのままにして聞いた。
    「ちょっと電気点けていいか?」
    「ダメだッ!」
    「へっ?」
    「オレ……今……」
     そう言うと、汐見は座ったまま俺に体を傾けてきて……そっ、と抱きついてきた。
    「っし、汐見?!」
     汐見は握っていた俺の左手を自分の腰に回し
    「恥ずかしいな、これ……」
    「えっ?!」
     ゆっくりと俺の手を誘導して……
    〝はっ?! ちょっ、待て?!〟
    「?!?! なっ! ななななっ! いつ?!」
     俺の手が触れたのは……!
    「ロウソクが……消えた時……」
     汐見の生尻だ!!
    「ちょ……!」
    〝脱いでる仕草なんて一瞬も見えなかった! いつの間に?! そんな早業、一体どこでっ?!〟
    「……ケーキ食ってからにするか?」
    「っ待てるわけないだろっ!!!」
    「だよな……」
     その汐見の声は予想通りの挙動をしたであろう俺を見て、笑いを含んでいた。
     だが、もうそれどころではなく、ケーキもディナーも放置し、導かれるまま、汐見とラグに沈み込み。
     薄暗いリビングで2週間ぶりのコトに及んだのだ────



    ※後編のR18部は「砂糖(佐藤)の日」の18時にこちらに投稿します。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏💘💒🍑🍆🌋
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works