ホームルーム終わり、バッグ片手に廊下へと出た。いつも放課後は真っ直ぐ部室へ足を向ける。けれど今日はその足を、逆方向へ出して歩いて行く。窓から見える空は青く広がり、絶好の部活日和だ。なのにオレの口からはため息が漏れる。貴重な梅雨の晴れ間、ロードで直線を駆け抜けたいのに。そうも行かない事情に、また口から深い息が出た。
「新開」
ふいに呼びかけられ振り返ると、見知った顔がこちらへ歩み寄ってくる。
「お前もこれから委員会だろ? 一緒に行こうぜ」
ニカッと笑いそう言った人物は、去年までのクラスメイト。今年クラスは別れ、彼はいま靖友のクラスメイトになっている。物怖じしない性格で、靖友ともうまく付き合えているらしい。よく二人で話しているのを見かけていた。
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