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    ##ログ

    歌姫は海底に踊るのか ログ KP : クトゥルフ神話TRPG『歌姫は海底に踊るのか』開始します。

    KP : あなたたちはいつも通り朝目覚める。
    今日は2人で買い出しに行く日だ。ゆっくり体を起こしていつも通りキスをして、朝の支度にうつる。
    薄ら曇った空が湿った風を運んできていた。

    朝のニュース : 「謎の都市水没事件について続報です。被害はどんどん広がりを見せており、先日〇〇市が水没していたことが判明しました。
    専門家が事象について調べていますがまだ詳しいことはわかっておらず……」

    鷲尾倫太朗 : CCB<=80 【知識】 (1D100<=80) > 72 > 成功
    雀ヶ野楓士 : CCB<=80 【知識】 (1D100<=80) > 7 > スペシャル

    ・都市水没事件
    1週間ほど前から起きている事件。
    神奈川の海沿いの街から始まり、隣接する都市をたどって街が足首〜膝くらいまでの水位で沈んでしまうという事象で交通や地盤に被害が出ている。
    被害の出ている町は一本道のようになっており徐々に東京へと近づいてきているようだ。今日報道されたのはあなたたちの住んでいる2つ隣の街だ。

    雀ヶ野楓士 : 「倫ちゃん、またあの水没事件のニュース……結構近くだね」
    鷲尾倫太朗 : 「本当ね。なんだか心配……」
    雀ヶ野楓士 : 「早く原因がわかるといいよね」
    鷲尾倫太朗 : 「なんだか、天気もあんまり良くないみたい。雨が降らないうちに、出かけましょうか」
    雀ヶ野楓士 : 「うん。倫ちゃんとのお買い物デート、楽しみだなあ」

    KP : あなた達は街へと繰り出す。
    その、目的地に向かう最中のことだった。
    ドン、と音をたてて倫太郎に誰かが勢いよくぶつかった。

    鷲尾倫太朗 : 「きゃっ!?ご、ごめんなさい」
    ??? : 「あっ……!た、助けて!私のこと、匿って!」
    鷲尾倫太朗 : 「えっ?」
    ??? : 「追われてるの!……ああっ」

    KP : フードを被った少女はすぐ近所の家屋の塀の中へと隠れてしまう。
    すると間もなく曲がり角から黒いスーツの男性が数人走って現れ、キョロキョロと辺りを見渡しながらあなた達へ声をかける。

    スーツの男性 : 「すみません、この辺りで黒いフードで裸足の女の子を見かけませんでしたか?これくらいの背丈で……」
    鷲尾倫太朗 : 「……いいえ、それらしい子は見てないわ。ねえ、ふうくん」
    雀ヶ野楓士 : 「うん。おれたちこっちから来たんですけど、わからなかったな」
    スーツの男性 : 「……そうですか、ありがとうございます」

    KP : 男性たちはなにやら耳打ちしあうと、それぞれ別の方向へと散っていった

    ??? : 「……行った?」
    鷲尾倫太朗 : 「ええ、大丈夫よ」
    ??? : 「……ありがとう、ずっと追われて困ってるの。助かったわ」
    鷲尾倫太朗 : 「どういたしまして。……何か困っているの?アタシたちで良ければ、話を聞かせて」
    ??? : 「本当!?ありがとう、素敵な人!私、人を探しているんだけど……道もわからないし、あの人たちには追われるし大変だったの!」
    雀ヶ野楓士 : 「人探し?」
    ??? : 「ええ、そう……あ、私ったら、お顔も見せずにごめんなさい」

    KP : フードをとればそこに現れたのは非常に美しい、白銀の髪だった。白いまつ毛に飾り付けられた瞳はピンク、水色、様々な色を反射してオーロラ色に煌めいている。

    ??? : 「私、ミシェルって言うの。よろしくね」

    鷲尾倫太朗 : 「あら可愛い。ミシェルちゃんね。アタシは鷲尾倫太朗っていうの。倫ちゃんって呼んで」
    雀ヶ野楓士 : 「おれは雀ヶ野楓士。おれのことも、楓士でいいよ」
    ミシェル : 「倫ちゃんに楓士ね!本当にありがとう、私、まだこのあたりに詳しくなくて……どうしようって思ってたのよ」

    鷲尾倫太朗 : 「ミシェルちゃんはどこから来たのかしら?」
    ミシェル : 「海の方からよ、歩いたから遠かったわ」
    鷲尾倫太朗 : 「海の方から?なんていう街?」
    ミシェル : 「街の名前?うーん……そういえば、気にしたことなかったわ。このあたりは細かく街に名前がついているものね」
    雀ヶ野楓士 : 「そうなんだ。おれも子どもの頃はそうだったよ」
    ミシェル : 「そうよね!楓士はもう大人だから街の名前もばっちりなんだわ」
    鷲尾倫太朗 : 「ふふ、そうね。アタシたちはこの辺りに住んでいるから、近くなら案内できると思うわ。その、探している人がいそうなところに心当たりはあるの?」
    ミシェル : 「ううん……それが難しいのよね。私、名前もわからなくて……とりあえず、調べものができればどこでも嬉しいわ」
    鷲尾倫太朗 : 「そうなのね。調べもの……図書館とか、かしら?」
    ミシェル : 「トショカン?」
    鷲尾倫太朗 : 「行ったことない?本がたくさんある場所」
    ミシェル : 「ないわ!私、行ってみたい!」
    鷲尾倫太朗 : 「ふふ、じゃあ行ってみましょうか」

    ミシェル : 「あっそうだ、二人に先にお礼、何か渡せないかしら……」
    鷲尾倫太朗 : 「お礼なんていいわよ。困っている子がいたらお手伝いするのなんて、当たり前のことだわ」
    雀ヶ野楓士 : 「うん、そうだよ。探している人が見つかるといいね」
    ミシェル : 「二人とも……本当に素敵な人。あ、でもこれなら!あげられるわ」

    KP : 彼女はそう言って薄い楕円形のものを差し出す。
    パールのように光沢を帯び、オーロラ色に偏光する何かだ。非常に美しい……なにかの鱗のようだ、と思うだろう。

    ミシェル : 「価値があるか分からないけど……さっき追ってきた人たちは、これと私の瞳を見て血相を変えてたから。いい物なんじゃないかしら」
    雀ヶ野楓士 : 「すごく綺麗な色だね。……これ、鱗?」
    ミシェル : 「そうよ。私にはもう必要ないから……こんなものしか渡せなくてごめんなさい」
    鷲尾倫太朗 : 「本当に、お礼なんていいのよ?」
    ミシェル : 「そういうわけにはいかないわ!……それとも、いらなかったかしら」
    鷲尾倫太朗 : 「いえ、そういうわけじゃ……!……アタシも、とっても綺麗だと思うわ。ありがとう、ミシェルちゃん」鱗をもらう
    ミシェル : 「……よかった。綺麗さには自信があったのよ。じゃあ行きましょう!トショカン、ってところ!」

    ミシェル : 「あ、痛……っ」
    鷲尾倫太朗 : 「どうしたの?」
    ミシェル : 「……足が、痛くて……」
    鷲尾倫太朗 : 「どこ?見せてくれる?」
    ミシェル : 「……ずっと痛いの、……どんどん、酷くなってて」

    KP : 彼女が暗く沈んだ顔をする。と、同時にざわ、と空気が騒ぐ
    それと同時にパシャリ、と水音が響く。
    ふと足元を見るとじわり、とコンクリートが湿っている。

    ざぱり、と大きな音を立てて、彼女を中心に猛烈な勢いで水が周囲を埋め尽くしていく。
    落ち着く頃には、靴底に染みこそしないものの、うっすらと周囲の地面――坂道などで高さの変わらないかぎりは、どこまでも――には水が張っていた。
    ふと今朝のニュースを思い出す。
    『都市の水没』。もしかして、彼女がその原因なのだろうか?
    SANc 1/1d3

    鷲尾倫太朗 : CCB<=71 【SAN値チェック】 (1D100<=71) > 23 > 成功
    雀ヶ野楓士 : CCB<=83 【SAN値チェック】 (1D100<=83) > 30 > 成功
    [ 雀ヶ野楓士 ] SAN : 83 → 82
    [ 鷲尾倫太朗 ] SAN : 71 → 70

    鷲尾倫太朗 : 「……水……?何、これ……?」
    雀ヶ野楓士 : 「倫ちゃん、これってもしかして……」

    ミシェル : 「……大丈夫、足は痛いけど、まだ歩けるわ」
    鷲尾倫太朗 : CCB<=90 【医学】ミシェルの足を見る (1D100<=90) > 42 > 成功
    KP : 彼女の足は何も問題がないように見える。裸足で歩いてきたぶん、汚れは見えるが、すべすべとした陶器のような美しい肌に驚かされるだろう。

    鷲尾倫太朗 : 「……怪我じゃない、のね。……ミシェルちゃん、辛くなりそうだったら、すぐに教えてね」
    ミシェル : 「ありがとう、倫ちゃん」
    鷲尾倫太朗 : 「あ、その前に……靴を買いにいきましょう。裸足のままじゃ、それこそ怪我しちゃうわ」
    雀ヶ野楓士 : 「……うん、……そう、しようか」
    ミシェル : 「クツ?クツってなあに?」
    鷲尾倫太朗 : 「靴はね、これ。足を守ってくれるのよ」
    ミシェル : 「あ!すごいわ、足にもお洋服を着るのね!」
    雀ヶ野楓士 : 「そうだよ。……ミシェルちゃんは初めて見たのかな。靴」
    ミシェル : 「うん、初めて見たわ。……いえ、言われてみれば、黒い服の人たちも着ていたわね」
    雀ヶ野楓士 : 「そうだね。靴はね、『履く』って言うんだよ。同じ身に着けるものだけど、言い方が違うんだ。面白いよね」
    ミシェル : 「履く、ね。覚えるわ!私もクツ、履いてみたい!」
    鷲尾倫太朗 : 「そうね。……行きましょうか」

    KP : あなた達は靴屋へやってきた
    店員 : 「いらっしゃいませ」

    KP : 客たちは外の地面に水が張ったことに気づいており、ざわざわと落ち着かない様子だ。

    ミシェル : 「すごいわ!これ、全部クツなの?」
    鷲尾倫太朗 : 「そうよ。……すみません、この子に合う靴をお願いします」
    店員 : 「かしこまりました。……こちらで、いかがでしょうか?」
    鷲尾倫太朗 : 「ありがとうございます」
    ミシェル : 「すごい、不思議な感じ!もっと重いのかと思ったわ」
    雀ヶ野楓士 : 「良かったね、ミシェルちゃん」
    ミシェル : 「うん、似合ってる?」
    雀ヶ野楓士 : 「似合ってるよ」
    ミシェル : 「えへへ……」
    鷲尾倫太朗 : 「それじゃあ、靴も買えたし図書館に行きましょうか」
    ミシェル : 「うん!ありがとう」

    KP:あなた達は図書館へとやってきた。

    鷲尾倫太朗 : 「ミシェルちゃんは、何を調べたいの?」
    ミシェル : 「えっと、そうね……人の写真がたくさん載ってるような本ってないのかしら?姿はしっかり覚えてるの!」

    鷲尾倫太朗 : CCB<=75 【図書館】 (1D100<=75) > 66 > 成功
    KP : 人の写真の乗っている本、を探すのは難しいことだ。どう探していいものかと倫太朗が迷っていると、後ろをついてきていたミシェルがとある本に興味を示す。

    ミシェル : 「……この絵本……」
    KP : それは人魚姫の絵本だった。

    KP : 『人魚姫』
    有名な童話だ。人間の男に恋をした人魚の姫は、海の魔法使いから声を引き換えに人間になる薬をもらう。
    歩きなれない足をひきずりながら懸命に男に気づいてもらおうとするが、最後には恋に破れ自ら海へ飛び込み、泡になってしまうという物語。

    鷲尾倫太朗 : 「この本が気になるの?」
    ミシェル : 「……ええ……。これ、本当の話なの?」
    鷲尾倫太朗 : 「うーん……そうね、これは絵本の中だけのお話、だと思うわ」
    ミシェル : 「本当?……私、悲しいわ。……こんな恋、とっても……辛いと思うの……」

    KP : 再び、ざぱりと大きな音がなる。外から悲鳴も聞こえるようだ。窓の外を見ると、先ほどより水位があがっているのが見える。
    ミシェルの表情は暗いままだ。

    鷲尾倫太朗 : 「……アタシも、少し悲しいと思うわ。せっかく王子様に会えたのに、結ばれないなんて、あんまりだもの」
    ミシェル : 「……私、私もね」
    ミシェル : 「初恋の人を、探しに来たの」
    雀ヶ野楓士 : 「初恋の人、かあ……。どんな人?」
    ミシェル : 「黒い髪が綺麗でね、笑った顔が一番素敵なの。私の髪のこともすごく褒めてくれて……よく、撫でてもらったわ」

    ミシェル : 「私の地元ではね、王子様と結ばれるのをみんな夢見てるの。地元から独り立ちして、素敵な人と結ばれる……それがいちばんの幸せだって信じられているわ」
    鷲尾倫太朗 : 「それで、ミシェルちゃんは王子様を探しに来たの?……素敵ね。とっても」
    ミシェル : 「ふふ、そうでしょう?……倫太朗は?素敵な人を自分の足で探しに行ったことはある?」
    鷲尾倫太朗 : 「……そうね。そういう時もあったわ」
    雀ヶ野楓士 : 「……」
    鷲尾倫太朗 : 「でも、アタシの王子様は、迎えに来てくれたから」
    鷲尾倫太朗 : 「でも、迎えに行くお姫様だって素敵だわ。ミシェルちゃんみたいに」
    ミシェル : 「迎えに来てもらったなんて……すっごく素敵!羨ましいわ」
    ミシェル : 「理想の王子様ね」
    鷲尾倫太朗 : 「そうでしょう?」
    雀ヶ野楓士 : 「……あはは」
    ミシェル : 「?楓士、どうして顔が赤いの?」
    雀ヶ野楓士 : 「ええと……」
    鷲尾倫太朗 : 「このひとがアタシの王子様なのよ」
    ミシェル : 「!楓士が!そうだったのね!」
    ミシェル : 「あっごめんなさい、私ったら!倫ちゃんの隣に立っちゃって、楓士の場所よね、ここって!」
    雀ヶ野楓士 : 「えっと……あ、ありがとう……?」
    ミシェル : 「ふふふ……!」

    ミシェル : 「ねえ、二人とも。私、これに似た内容の本、もっと見たいわ、他にないのかしら」

    鷲尾倫太朗 : CCB<=75 【図書館】 (1D100<=75) > 80 > 失敗
    雀ヶ野楓士 : CCB<=75 【図書館】 (1D100<=75) > 41 > 成功

    KP : 『海の歌姫』木戸蘭丸 作/恵比寿乃愛 絵
    作者の実体験を本にしたという名目のファンタジー小説だと言われている。
    作者はある時海辺で世にも美しい人魚に出会う。
    彼女と恋に落ちた作者は必ず彼女を迎えに来ると言い、彼女も人間になってここで待っていると約束を交わした。
    しかし、約束の日彼女は最後まで現れなかった。
    彼女のための靴を持て余し、作者は夜空を一人で眺めるしかなかった。
    夢のような恋だった。
    最後にそうしめくくられた物語には、世にも美しい白銀の髪の少女の絵が添えられていた。

    雀ヶ野楓士 : CCB<=65 【目星】 (1D100<=65) > 52 > 成功
    KP : 最後のページの少女は、ミシェルに特徴は似ているものの、彼女本人ではないかもしれないと思う

    雀ヶ野楓士 : 「こっちにも、本があったよ」
    ミシェル : 「あっ!」
    鷲尾倫太朗 : 「ミシェルちゃん、どうかした?」
    ミシェル : 「この絵、3番目の姉にすごくよく似てるわ、綺麗な絵ね」
    鷲尾倫太朗 : 「お姉さんに?」
    ミシェル : 「ええ、結婚の約束をして、少し前に地元を出ていったわ」
    鷲尾倫太朗 : 「そうなのね。良かった」
    ミシェル : 「でも……この本の人は、お姫様とは会えなかったのね」
    雀ヶ野楓士 : 「すれ違っちゃったのかなあ。それとも、急に用事ができて来られなくなっちゃった、とか?」
    ミシェル : 「恋する人に出会うより大切な用事って、なあに?」
    雀ヶ野楓士 : 「うーん……おれにはわからないけど……」
    ミシェル : 「……私にもわからないわ。……私にとっては今、あの人に会うことより大切なことなんてないもの」
    鷲尾倫太朗 : 「そうね。……ううん、でも困ったわ。他に何か手掛かりはないかしら?」

    鷲尾倫太朗 : CCB<=70 【アイデア】 (1D100<=70) > 74 > 失敗
    雀ヶ野楓士 : CCB<=65 【アイデア】 (1D100<=65) > 43 > 成功

    KP : この本に載っていたのはミシェルの知り合いだと言う。それに、この本はファンタジー小説だと言われているが、作者本人は実体験だとも言っている。真偽はわからないが、彼は何か知っているのだろうか。

    雀ヶ野楓士 : 「……この本を書いた人、何か知らないかな」
    雀ヶ野楓士 : CCB<=75 【図書館】スマホで検索する (1D100<=75) > 34 > 成功

    KP : ・木戸蘭丸について
    海洋生物の保護をしている由緒ある家柄に生まれた次男。
    家督を長男が継いだ後小説家として活動していたが、『海の歌姫』を書いた後、精神を病み執筆をやめたと言われている。
    木戸家については調べればオフィスを構える本邸の住所も電話番号もすぐに出てくるだろう。住所は、件のはじめの水没被害にあった街である。

    雀ヶ野楓士 : 「……あった、電話、かけてみようか?何か話が聞けるかも」電話を掛ける

    木戸 : 「……はい。木戸でございます」
    雀ヶ野楓士 : 「もしもし、雀ヶ野と申します。突然のお電話ですみません。『海の歌姫』を書かれた、木戸蘭丸さんにお話をお伺いしたいのですが」
    木戸 : 「……蘭丸に?歌姫について?……失礼ながら、どういったお話を?」
    雀ヶ野楓士 : 「……あ、ええと……。……僕、作曲の活動をしているんですが。……この本に感銘を受けまして、今後の制作のために、ぜひ作者様ご本人にお話をお伺いできないかと」
    木戸 : 「……そういうことでしたら、すみません。蘭丸は……5年前に、亡くなっているのです。本人と直接話はできません」
    雀ヶ野楓士 : 「そう、なんですか。残念です……。それでは、他にこちらの本のことが分かる方はいらっしゃいませんか?」
    木戸 : 「……。兄である私なら、多少のお話はできると思いますが。今人捜しで立て込んでおりまして、急ぎでなければ……日を改めたいのですが」
    雀ヶ野楓士 : 「人探し?」
    木戸 : 「ええ……一週間ほど、部下に探させているのですがね……あなた達も見かけていませんか?黒いローブの、美しい瞳の少女を」
    雀ヶ野楓士 : 「えっ……?」
    木戸 : 「今起きている水没事件について追っているのです。……迅速なご協力を……、っすみません、突然言われても困りますよね」
    雀ヶ野楓士 : 「あっ、いや、えと……水没事件と、何か関係があるんですか?……いえ、僕も、東京に住んでいて、近くの街まで影響があるものですから」
    木戸 : 「……そうですね。深く、関係していますが……、彼女が見つからない以上はお話しても仕方ありません。蘭丸の本のことはまた後日連絡をさしあげますので……」
    雀ヶ野楓士 : 「っ、きょ、協力します!なので、状況を詳しくお聞きできませんか?」
    木戸 : 「……協力?捜索に、ですか?」
    雀ヶ野楓士 : 「はい。僕も探します。でも、訳も分からないままでは探せないので……」
    木戸 : s1d100 心理学50 (1D100) > 37
    木戸 : 「……では、何か知っているのでしたら……直接、お話ししましょう。オフィスの住所をお伝えいたします」
    雀ヶ野楓士 : 「……ありがとうございます」
    木戸 : 「では、お待ちしております」

    雀ヶ野楓士 : 「……どうしよう、倫ちゃん……」
    鷲尾倫太朗 : 「さっきこの子を探していた黒い服の人たち、きっとその木戸さんの部下ってことよね……?」
    雀ヶ野楓士 : 「たぶん……。どうしよう、つ、連れてっていいのかな、ミシェルちゃんのこと」
    鷲尾倫太朗 : 「うーん……まだわからない、わね。……でも、ふうくんは頑張ったわよ」
    鷲尾倫太朗 : 「嘘吐くの、苦手だものね……」
    雀ヶ野楓士 : 「うう……でも、このままじゃ何もわからないままだよね」
    鷲尾倫太朗 : 「……何かあっても、守ってあげるわ。ミシェルちゃんのことも、もちろん、あなたのことも」
    雀ヶ野楓士 : 「倫ちゃん……」

    鷲尾倫太朗 : CCB<=75 【図書館】インターネット検索 (1D100<=75) > 35 > 成功
    KP : ・恵比寿乃愛について
    調べてもあまり情報が出てこないことから無名の画家であることがわかるだろう。ふだんは自伝的テーマを中心に絵本に絵を描いているようだ。
    細々と更新されている自身のブログには電話番号とメールアドレスが乗っている。

    KP : ・恵比寿乃愛のブログ
    基本は非商用に描いた絵の公開に使われているようだ。
    優しい色合いに幻想的な雰囲気の絵が多い。
    人魚について検索をすると、一件の記事がヒットする。

    KP : 20××.〇.△
    木戸様の依頼より抜粋
    『人魚』
    そこには本の最後に描かれていた人魚の少女の顔が明確に描かれている。
    その顔は非常に美しく、特徴的な瞳の色も髪の色も彼女と一致している。先ほどの本に添えられていた彼女だ。
    その後ブログにはこう続いている。
    「古来より人魚の恋は叶わないものだと描かれています。現実でもきっと、恋は難しいものです。
    おばあさまの代より受け継いだ美しい絵の彼女たちの恋心がどうか、海の泡となって消えていませんように」

    鷲尾倫太朗 : 「……連絡、してみようかしら」

    恵比寿乃愛 : 「はい、恵比寿です。絵のご依頼でしょうか」
    鷲尾倫太朗 : 「鷲尾と申します。すみません、依頼ではないのですが、お聞きしたいことが……今お時間よろしいですか?」
    恵比寿乃愛 : 「……はい、かまいません。どういったご用でしょうか」
    鷲尾倫太朗 : 「……木戸蘭丸さんの書かれた絵本の、人魚のことについて」
    恵比寿乃愛 : 「……蘭丸様の?……今、ですか?……いえ、失礼しました。あの絵についてですね。なんでしょうか」
    鷲尾倫太朗 : 「恵比寿さんのブログを拝見しました。人魚の絵の記事。……今、連続して起こっている水没事件について、ご存じですか?その事件と、あの絵の人魚……何か、関係がありますよね」
    恵比寿乃愛 : 「……ご存じなんですね。……私の絵が、というわけじゃありません。彼女たち、が関係しているだけで……」
    鷲尾倫太朗 : 「……詳しくお話を聞かせていただけませんか?」
    恵比寿乃愛 : 「……。木戸様に会われましたか?」
    鷲尾倫太朗 : 「?……いいえ、まだ」
    恵比寿乃愛 : 「……。私の口から、簡単に語っていいことか、私にはわからないのです。
    もし、あなた達が彼女たちと縁があるのなら……木戸様に会うかどうか、話を聞いたほうがいいかも……私には」
    鷲尾倫太朗 : 「……木戸さん、いえ木戸蘭丸さんはお亡くなりになってるんですよね。……そのご家族の方は、もしその人魚に会ったら、どうすると思いますか?」
    恵比寿乃愛 : 「……知也様は、……。蘭丸様のこと、深く愛していらっしゃいましたから。
    ……今回の彼女、が、蘭丸様を奪い去ったのでなければ……あるいは、冷静に対処してくださるかもしれませんが」
    鷲尾倫太朗 : 「奪い去る、って?どういう……」
    恵比寿乃愛 : 「なぜ蘭丸様が亡くなったか、知らないんですか?」
    鷲尾倫太朗 : 「えっ?ええ、そこまでは知りませんでした」
    恵比寿乃愛 : 「……。蘭丸様は、呪われた、と。木戸家の方々は仰るでしょう。……私には、必ずしもそうとは、思えませんが」
    鷲尾倫太朗 : 「呪われた……?一体どういうことですか?」
    恵比寿乃愛 : 「……。もし、すべてを知ったあと、それでも……今回の彼女の足が痛むのなら。……今から言う住所へ、彼女を連れて行ってあげてください。……知也様が、それを許して下さらなくても。必ず」
    鷲尾倫太朗 : 「……ええ、ありがとうございます」
    恵比寿乃愛 : 「ごめんなさい。何も語れなくて」

    ミシェル : 「二人とも、どうしたの?怖い顔してるわ」
    雀ヶ野楓士 : 「……」
    鷲尾倫太朗 : 「……大丈夫。……大丈夫よ、きっと」
    ミシェル : 「……」
    KP : 彼女が悲しい顔をするたび、街は静かに水没し続ける。あなた達は一体、彼女をどうするだろうか。
    彼女の足取りは重いままだ。

    KP : あなた達はミシェルを連れて水没の最初の被害があった街、木戸邸へと向かう。
    雀ヶ野楓士 : CCB<=75 【幸運】 (1D100<=75) > 31 > 成功
    KP : 時折、黒いスーツの男たちが遠くを歩いているのを見かけるが、あなた達は見つかることなく木戸邸へたどり着くことができる。
    木戸 : 「雀ヶ野様ですね。お入りください」
    雀ヶ野楓士 : 「……お邪魔します」

    木戸知也 : 「……ご足労頂きありがとうございます」
    雀ヶ野楓士 : 「こちらこそ、お忙しい時にすみません」
    木戸知也 : 「弟の……蘭丸の件について対応できず申し訳ありません。……それでも、私達の少女捜索を手伝っていただけるとか?」
    雀ヶ野楓士 : 「はい、何か僕で力になれることなら、と思って」
    木戸知也 : 「……少女に、何か心当たりでも?見ず知らずの私にそう言うくらいですから。目途が立っているのでしょう」
    雀ヶ野楓士 : 「え、ええと……僕も信じられないんです、けど。……あの絵本の話って、本当のことなんですか?それが、知りたくて」
    木戸知也 : 「……。やはり、蘭丸の本も、そのことで聞きに来たのですね」

    木戸知也 : 「ご存じないかもしれませんが、彼女たちは……非常に危険な生き物です。どんな姿をしていても。私達に、彼女のことは任せていただきたい」
    雀ヶ野楓士 : 「危険?」
    木戸知也 : 「街を見たでしょう。あなた達の近くの町まで沈んだと、仰っていましたね」
    雀ヶ野楓士 : 「は、はい……そうです」
    木戸知也 : 「……わかりませんか?あれは彼女たちの……今回の彼女の仕業なのです。放っておけば、被害は広まるばかりだ」
    雀ヶ野楓士 : 「……彼女たち、って、いったい……?どうして街がこんなことになっているんですか?」
    木戸知也 : 「……。細かくは、彼女を捕らえないとわかりません。……それでも、海は彼女たちの味方なのです」

    木戸知也 : 「……人魚、を知っていますか」
    雀ヶ野楓士 : 「え……?」
    木戸知也 : 「おとぎ話に出てくる、あの人魚です。……ばかげた話だと思うかもしれませんが、彼女たちの正体です」
    雀ヶ野楓士 : 「……本当に存在するんですね。じゃあ、あの本の話はやっぱり……」
    木戸知也 : 「……いいえ、あの本を書いたころ、もう弟は……気が確かではありませんでしたから。事実は、もっと……恐ろしかった」
    雀ヶ野楓士 : 「どういうことですか?」
    木戸知也 : 「……弟は、実際に人魚に呪われていたのです。彼女は陸にやって来ていた。……弟の心を蝕むために」
    雀ヶ野楓士 : 「呪い……?そんな……」
    木戸知也 : 「弟の心を食い尽くしたのか、彼女は姿を消した。……そして、弟は後を追ったのです。……『陸に自分たちの恋はなかった』と。……そう言った頃には、彼の目に私は映っていませんでした」
    雀ヶ野楓士 : 「……」

    木戸知也 : 「……本当に彼女の居場所を知らないのですか。私は……これ以上、彼女たちの被害者を増やしたくはない。あなただって、呪われたくないでしょう」
    雀ヶ野楓士 : 「……蘭丸さんは、不幸だったと、思いますか」
    木戸知也 : 「……はい?」
    雀ヶ野楓士 : 「蘭丸さんは、彼女のことを愛していたんでしょう」
    木戸知也 : 「……」

    木戸知也 : 「……あれが、呪いじゃなければ、なんだったというのですか。……蘭丸は、……。」
    雀ヶ野楓士 : 「ごめんなさい、木戸さん。あなたの話を聞いただけじゃ、おれにはわかりませんでした。……蘭丸さんが、本当に呪われていたのかどうか」
    木戸知也 : 「……。それは、彼女の情報は、私たちに渡せないということですね」
    雀ヶ野楓士 : 「……すみません、騙すような真似をして」
    木戸知也 : 「……弟のことが知りたければ。彼の部屋を自由に見てください。……生前のままにしてあります。……気が変わったら、私に話を」
    雀ヶ野楓士 : 「ありがとうございます」

    KP : あまり整理のされていない、生活感のある部屋だ。埃もつもっていない。到底故人の部屋だとは思えないほど管理されている。

    探索箇所
    ・机
    ・本棚
    ・ベッド

    雀ヶ野楓士 : CCB<=65 【目星】⇒机 (1D100<=65) > 55 > 成功
    KP : あまり馴染みのない大きな器具が大半を占めている。ほかには様々な種類の皮やクッション材、トンカチなどが置いてある。
    雀ヶ野楓士 : CCB<=80 【知識】 (1D100<=80) > 48 > 成功
    KP : 靴を作る材料や道具だとわかる。
    雀ヶ野楓士 : 「靴を作る道具……?」

    雀ヶ野楓士 : CCB<=75 【図書館】⇒本棚 (1D100<=75) > 41 > 成功
    KP : 本棚には日記がおさめられていた。

    KP : 「〇月×日
    彼女は本当に人間になった!嬉しい、これで俺たちは一緒にいられるんだ。しかし俺の作った靴は少しサイズを間違ってしまったらしい。恥ずかしそうに靴が窮屈だと言う彼女の顔は幸せそうだった。

    〇月×日
    彼女はしきりに足の痛みを訴える。何度も靴を作り直したけれど、靴が合っていないのが理由ではないようだ。
    もっと柔らかいクッション材を入れた靴を作ろう。少しでも彼女の苦痛が和らぐように。

    〇月×日
    彼女を車いすに乗せてデートに行った。彼女の故郷と同じ色、ネモフィラの花畑に大喜びだった。陸にも美しい青があることを教えられて嬉しい。
    彼女は俺と一緒にどこまでも陸を見たいと言った。嬉しい、彼女の足が問題亡くなれば、世界旅行に行きたい。

    〇月×日
    彼女の足は一向に良くならない。声もだんだん枯れてきたように思う。以前ほど自由に歌えなくなったと彼女は悲しんだ。
    俺にはなにができる?

    〇月×日
    彼女はまだ人間になりきれていなかった。海の魔女が意地悪なのは童話だけではなかったらしい。
    彼女の一番の願いを叶えれば、彼女は人間になれると言う。
    彼女は俺がいれば他には何もいらないと言った。ならば、なぜ。

    〇月×日
    見るからに彼女は衰弱していた。俺には、なにが。

    〇月×日
    人魚姫。泡になって消える哀れな少女。どうして、彼女は人魚だったんだろう。
    俺は、彼女にキスの一つも、できなかった






    彼女を証明するものは、もう何もない
    そんなのあんまりだ」

    雀ヶ野楓士 : 「……」

    雀ヶ野楓士 : CCB<=65 【目星】⇒ベッド (1D100<=65) > 34 > 成功
    KP : ベッドの下から箱が出てくる。何か楕円形のものをはめれば開くように鍵がほどこされているようだ。
    雀ヶ野楓士 : 「……これは……?」

    雀ヶ野楓士 : 「……」
    雀ヶ野楓士 : ミシェルちゃんに貰った鱗を嵌めようとする
    KP : 鱗はその穴にピタリとはまってきらめいた。箱は問題なく開く。
    中には何枚かの写真と紙片が入っている。
    本に描かれていた美しい少女と青年がデートをしている際に撮ったのであろう写真だ。どれも非常に幸せそうで、二人の距離感に初々しさをも感じる。
    紙片にはとある女性の名前と電話番号、メモが記されていた。
    恵比寿愛子 人魚と恋をした画家 真偽確認、要相談

    雀ヶ野楓士 : CCB<=65 【アイデア】⇒電話番号 (1D100<=65) > 61 > 成功
    KP : 電話番号は恵比寿乃愛と同じものだ。仕事用の番号なのだろうと思う。
    雀ヶ野楓士 : 「……この番号、さっきの……」

    雀ヶ野楓士 : 「……あの、木戸さん、この箱って……」
    木戸知也 : 「……その箱は……蘭丸の部屋にあったものですね?」
    雀ヶ野楓士 : 「はい。すみません、勝手に持ち出してしまって」
    木戸知也 : 「……いえ。あとで戻しておきます。その箱がどうしましたか?鍵なら見つかっていませんが」
    雀ヶ野楓士 : 「……あの、後で必ずお返しするので……お借りすることは、できませんか?」
    木戸知也 : 「……。なぜ?どこへ持っていくと言うのですか」
    雀ヶ野楓士 : 「…………ごめんなさい、おれ、勝手に開けちゃって……」
    木戸知也 : 「……、鍵を、持っていたのですか?あなたが?」
    雀ヶ野楓士 : 「……ごめんなさい……でも、あの、中身……見てもらえませんか」
    木戸知也 : 「中身を?」
    雀ヶ野楓士 : 「写真が出てきたんです。……蘭丸さん、ですよね、この方」
    木戸知也 : 「……!蘭丸……こんな写真が……」
    雀ヶ野楓士 : 「……おれには、呪われてるようにはとても……。……幸せそうに、見えます」
    木戸知也 : 「……っ、やめて、やめてください!そんなこと言うのは!なら!なぜ!蘭丸は……ッ」
    雀ヶ野楓士 : 「……木戸さんが、弟さんを大切に思うように……蘭丸さんも、彼女が、大切だったんじゃないでしょうか。……周りが見えなくなってしまうほど。おれは、少しだけ……わかります」
    木戸知也 : 「……っ、く、……ッ、私には、……ッ、そんなこと……ッ」
    雀ヶ野楓士 : 「……おれにも、大切な人がいます。その人が消えてしまったらきっと……おれは、おれでなくなってしまうような気さえ、します。……似ていますよね、なんだか」
    KP : 木戸は今にも決壊しそうな涙をこらえたまま押し黙っている。
    雀ヶ野楓士 : 「……すみません、たくさん話してしまって。……お話してくれて、ありがとうございました。これ、お返しします」
    木戸知也 : 「……あなたなら、……彼女を自由にできるのですか。海の呪縛から。……弟の、彼女たちの心がわかる……あなたになら」
    雀ヶ野楓士 : 「どう、でしょう。わからないです。……でも、がんばります!」
    木戸知也 : 「……はは。がんばります、か」

    木戸知也 : 「……一時的に、手を引きましょう。……次の街が沈むまでです。……弟を、幸せだったと、私に信じさせてくれますか?」
    雀ヶ野楓士 : 「はい。きっと……いえ、必ず」

    ミシェル : 「ねえ倫ちゃん、楓士は何をしに行ったの?」
    鷲尾倫太朗 : 「うーん……そうね、ミシェルちゃんが探している王子様の手掛かりを、聞きに行ってくれたわ」
    ミシェル : 「え?私の?」
    鷲尾倫太朗 : 「……ここ、さっきの本を書いた人のお家なのよ」
    ミシェル : 「そうなの?あ、そういえばね、言いそびれてたんだけど、私の……」

    KP : その時、「おい、見つけたぞ!」と声が響く。見ると、黒いスーツの男たちがこちらに向かって走ってくるようだ。

    鷲尾倫太朗 : 「! ミシェルちゃん、行きましょう」
    ミシェル : 「!、う、うん!」

    鷲尾倫太朗 : CCB<=55 【DEX対抗】 (1D100<=55) > 40 > 成功
    KP : あなたはミシェルの手を引いて走る。後ろから追手は来ているが今は追い付かれそうにない。

    KP : 「逃がさないぞ!」そう言った言葉と共に曲がり角の向こうからもスーツの男たちが現れる
    完全に挟まれてしまったようだ

    ミシェル : 「り、倫ちゃん……」
    鷲尾倫太朗 : 「……っ、」

    KP : じりじりと男たちは近づいてくる。そのたびに足元の水がぱしゃりと音を立てた。

    KP : ピピ、と場に似合わない電子音が鳴る。と同時に男たちが耳元に手を当てた。インカムをしているようだ。ボソボソと先頭に居る男がマイクに向かって話している。
    「……ですが……、はい、はい、かしこまりました。」
    言い終わると男はあなたたちをじろりと一瞥し、言う。

    スーツの男 : 「……少しの間、捜索から手を引くそうだ。今この瞬間から、指示があるまでなにがあっても少女に手を出すなと」
    鷲尾倫太朗 : 「えっ……?」
    KP : あなた達の困惑をよそにスーツの男たちはバラバラと散っていく。しばらく追手はこないことだろう。
    鷲尾倫太朗 : 「ど、どういうこと?」
    ミシェル : 「わからないけど、私だいじょうぶってことなの?ありがとう、倫ちゃん!」
    鷲尾倫太朗 : 「アタシは何も……、でも、良かったわ」

    雀ヶ野楓士 : 「倫ちゃん!」
    鷲尾倫太朗 : 「ふうくん!……その、……どう、だった?」
    雀ヶ野楓士 : 「……少しだけ、待ってくれるって。……倫ちゃん、さっき恵比寿さんが言ってくれたところ、行こう」
    鷲尾倫太朗 : 「えっ?」
    雀ヶ野楓士 : 「移動しながら話すよ。とにかく、行こう!」

    KP : そこにあったのは小さな可愛らしい小屋だった。少し山を登った先にあるここでは、街を侵した波の音も静かに、穏やかに聞こえる。

    ミシェル : 「はぁ……はぁ……っ、つ、ついた?私、足が……」
    雀ヶ野楓士 : 「ご、ごめん!大丈夫?」
    ミシェル : 「……っ、だい、じょうぶ……」
    鷲尾倫太朗 : 「ミシェルちゃん、無理しないで。手を貸すわ」
    ミシェル : 「……ありがとう、倫ちゃん……」

    雀ヶ野楓士 : CCB<=65 【目星】 (1D100<=65) > 66 > 失敗
    鷲尾倫太朗 : CCB<=60 【目星】 (1D100<=60) > 41 > 成功
    KP : 玄関には特殊な鍵がかかっているようだ。薄く、楕円形のものをはめると開く仕組みになっている。楓士には、見覚えがあるだろう。
    鷲尾倫太朗 : 「……鍵が掛かってるわ」
    雀ヶ野楓士 : 「あ!これなら……」
    雀ヶ野楓士 : 鱗を嵌めてみる
    KP : 鱗はさきほどと同じく、ピタリと溝にはまった。
    ギィ、とぎこちない音が鳴り、扉は開く。

    KP : 中に入ると、独特なにおいが鼻孔をかすめた。絵具だ。絵具と、古い紙の匂い、油の匂いがまざって久しぶりに開け放たれたドアからあふれ出てくる。
    アトリエ、だった。
    雀ヶ野楓士 : 「絵がたくさん……」
    KP : 中にはたくさんの棚があり、画材などをしまっているのがわかる。
    部屋の真ん中には布のかけられたひとつのイーゼルがぽつんと置いてあった。

    KP : イーゼルにかけられた布を取り払う。
    埃が舞って、その絵が露わになる。美しいオーロラ色の髪の少女……ミシェルが見事に描かれていた。その、隣にも。
    ミシェル : 「ああ……!」
    KP : ミシェルが絵に駆け寄る。その隣に描かれていたのは、黒い髪が美しく、笑顔の可愛らしい少女だった。
    絵の右下には100年前の日付、そしてE.Aとイニシャルが入っている。

    ミシェル : 「そう、そうよ……彼女なの、私、この子に、ずっと恋をしていたのよ……」
    雀ヶ野楓士 : 「……良かった、見つかって」
    ミシェル : 「もう、こんなに前のことだったのね。人に流れる時の短さのこと、すっかり……忘れていたわ」

    ミシェル : 「……素敵な笑顔、やっぱり、大好き」
    鷲尾倫太朗 : 「そうね。……素敵だわ。二人とも」
    ミシェル : 「……ありがとう、二人とも」
    KP : 愛おしそうにキャンバスの中の少女の頬をなでる。透明な雫が瞳に溢れてキラリと輝く。
    ぽたり、絵画にその雫は落ちた。黒い髪の少女の目元に落ちて、じわりと彼女の瞳も濡れる。二人がまるで再会に涙しあっているようだった。

    ミシェル : 「愛してるわ、私の初恋の人」

    KP : 美しい人魚姫は最愛の人に口づけを落とす。
    この瞬間が、きっと誰よりも、幸せそうに見えた。

    ざぱり、もはや聞きなれた音が遠くから聞こえる。あなた達はふと窓の外を見るだろう。眼下に広がる街、その地面に広がった水面が揺らいでいる。
    つぎの瞬間。

    ざざざ!と音をたてて一斉に水が流れ出した。
    海に帰るように、水はみるみるうちに街から姿を消していく。
    あっという間に街は元通りになってしまった。
    驚いたように、土地の高い場所にある仮設避難所から人々が姿を現しているのが見える。

    ぱしゃ。

    小屋の中からも水の音がした。目線を戻せば、オーロラ色の髪をなびかせた彼女を中心に、水がキラキラと舞い上がっている。
    彼女の足を祝福するように、その美しい恋を祈るように、優しい水が彼女を包む。

    ミシェル : 「私、この恋と一緒に生きていくわ。あなた達の、あの子の世界で。……そういう、約束なの!」

    KP : きらり。
    ひときわ輝いて水がはじけた。思わずあなた達も目を閉じる。

    ミシェル : 「ねえ、見て!私、もう、足だって痛くないわ」

    雀ヶ野楓士 : 「!」
    鷲尾倫太朗 : 「……良かった」
    ミシェル : 「……あの子と同じ黒い髪。ねえ、似合ってる?」
    鷲尾倫太朗 : 「ええ、とっても。似合ってるわ。綺麗ね」
    ミシェル : 「……うふふ」

    KP : ……こうしてあなた達と人魚姫の物語はハッピーエンドで締めくくられる。
    後に、絶世の美少女が恋を歌って歌姫デビューをするのは、また別の話。

    Happy End

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