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    krgntl

    @krgntl

    すきなものをかく

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    krgntl

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    Dとロジェールが木の枝で手合わせして遊ぶ話。
    仲良しです。

    剣戟と云う戯れかつん、かん、と、木のぶつかり合う音が響く。
    ロジェールとDは枝を各々の得物に見立て、模擬戦を行っている最中だった。
    ルールは単純。剣技のみを使用し、相手の身体に三度触れさせた方の勝ちだ。
    「ふっ……!」
    ロジェールが鋭い息を吐き、連撃がDの腕を掠める。ぱちんと音を立てて枝がしなり、Dは咄嗟に飛び退いて距離を取った。
    「くっ……」
    「今ので二撃目。後がないね、D?」
    「……『まだ』二撃目だ。調子に乗るな」
    軽口に挑発を返すと、Dは腰を落として得物を構える。ロジェールは自身の武器を構え直し、密やかに息をついた。
    距離を取って逃げたように見せておきながら、Dは完璧に自らの間合いを保っている。
    僅かでもタイミングを見誤れば彼はたちまち得物…この場合は大ぶりな木の枝なのだが…を振るい、ロジェールの脇腹を打ちすえるだろう。
    でも、とロジェールは考える。普段の彼の得物は大剣、その力強い剣圧はロジェールもよく知るところだ。
    だが、得物の大きさゆえに一撃ごとの隙が大きい。相手に武器を当てれば良いというルール上、初撃をかわしさえすれば手数で勝るこちらが有利だ。
    振らせて取る、それで勝てるはず。瞬時にそう判断し、僅かに剣……枝先を下げる。Dは即座に反応し、大枝を握る指に力がこもるのが見て取れた。
    踏み込む足を僅かに遅らせ、武器を振り切った彼の鎧を纏わぬ腕を狙う。計算通りだと勝利を確信した刹那、D はくっと頭を下げた。
    ざり、と砂を擦る音。ロジェールの視界からDの姿が消え、見えなくなり……直後、背中にぱちんと枝がぶつかる。
    「……う、わ、!?」
    Dは自身の武器を振り切った瞬間、身体を丸めてロジェールの死角へと滑り込んでいた
    衝撃にたたらを踏んだその直後。
    こつん、と頭頂部に乗せられた枝の感触に、ロジェールは大袈裟に両手をあげてみせた。
    「やれやれ……今日は勝ったと思ったのに」
    「そうして油断するから肝心なところでしくじるんだ、お前は」
    ひょい、と枝を退かしながら、Dが浅いため息をついた。
    筋肉の火照りを心地よく感じながら、ロジェールも枝を放り出す。
    「最後の一撃、あれはいつもの君ならほぼやらない動きだったじゃないか」
    「鎧を着ていなかった分、速く動けた。相手が無茶な踏み込みをしてきたことも大きいがな……体力切れが近かったのか」
    「それは言わないでくれないか。勇み足だったのは否定しないけれど」
    剣のみとなるとややロジェールが不利だが、それでも勝率が低いわけではない。半々とまではいかぬまでも、勝負のうちの四割ほどはこちらが勝利をおさめているのだ。
    「とにかく、勝負はついたからね。火起こしから後片付けまで、まるごと全部僕の担当だ」
    「……別に、罰など要らんと言うのに」
    「ペナルティがあった方が張り合いが出るだろう」
    「……ハァ」
    譲る気のないロジェールを見て諦めたのか、Dは先程よりも深いため息をついて踵を返した。
    せめて追加の薪でも拾ってこようというのだろう、こちらも止めるつもりはない。
    ゆっくりと歩み行く背を見送りながら、ロジェールはさてと腕まくりをした。

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