カーテンの隙間から朝の光が差し込む。
瞼越しに明るい光を浴びて眠りのふちから呼び起された。
まだぼんやりとした意識にまどろみながらうっすらと目を開ける。
「んっ……」
「れお、おはよう。よく寝れた?」
耳に馴染んだ声がいつもよりとろりと甘い。
温めた蜂蜜がじわりと溶け出すような声音に、パチリと目が覚める。
目を丸くした玲王の視界に、茫洋とした凪が入り込んだ。
「体大丈夫? 昨日は抱き潰しちゃってごめんね」
傍から見るとちっとも申し訳ないと思っていなさそうな無表情だけれど、玲王にはその瞳の奥に心配そうな翳りが見えた。慮る言葉はあまりにも普段の凪と離れていて、戸惑いが隠せない玲王の顔がかぁっと熱を帯びる。
1084