それはまるで呪いのような 屋敷の大広間は異様な雰囲気に包まれていた。高塔の名を持つ大人が大勢集まり、大広間の端を囲うように座っている。
父は上座に座り、俺はその隣に。雨竜はこの場には居ない。辺りを見回すと、戴天の姿も見える。異様な雰囲気に呑まれ、元々色素の薄い肌が青ざめている。彼はこの後起こる議論に耐えられるだろうか。いや、彼ならきっと大丈夫だ。
どのような議論になるかは分かっている。これから自分はどうなるのだろう。良くないことになる、それだけは分かる。最悪の場合、明日にはもうこの家には居ないのだろう。
父と叔父の言い争いをどこか他人のように聞きながら、心配なのはここに残す雨竜のことだった。雨竜は芯の強い子だ。でもまだ幼い彼が受け入れるにはあまりにも大きい重責と現実。どうか雨竜が立ち上がれるように祈るばかりだった。
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