カクテルパーティー効果たまには、こことは違う場所で歌ってみないか。
刺激も必要だろうという彰人の提案に対し、全員が賛同した。そこから、彰人と冬弥が歌ったことがあるという、神高やWEEKEND GARAGEがあるこの地域からかなり離れた場所にあるスタジオで歌わせてもらうことになり、何時にどこで待ち合わせよう、と決まるまでは順調だったのだが。いざ当日集まると、街は人で溢れていた。
「あー、マジか。朝より確実に人が増えてんな」
「そうだね…。日曜日のお昼だからかな」
杏と冬弥より一足先にこの街に着いていた彰人とこはねが、口を開いた。2人とも練習が始まる前に済ませておきたい用事があったようだ。わざわざ内容を聞くのは野暮だと分かっていても、ついつい気になって聞きたくなってしまう。杏はそれをグッと堪えて、今から向かうスタジオに意識を向けることにした。
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