【視界の空、軽息の海、弾鞠の陸】 ──葬儀場の近くを通ると、いやに懐かしい気分になる。それがいつからなのかは、とんとわからないが──
『ご存知ですか。貴方が生まれたその意味を』
どぷんと視界が落ちたのは、沼のような闇だった。
…
目が覚めれば青天井。どこまでも広がるような淡い空。少し彩度が下回り、今にも滅びそうな砂浜だ。
『ご存知ですか。貴方が生まれたその意味を』
とん、と肩を叩かれるように、音が響く。周囲を見れど声の主は見当たらない。であればこれは白昼夢かと、ただ広い砂浜を歩き始める。
青い、青い、海だった。奇妙なほど青い海。空は曇天だが、周囲はいやに明るい。偶に雷のような鳴りが響き、もう時期この世は閉幕と、静かに告げるかのようだった。
1904