「――――っ!?」
閃光が視界を白く染め上げ、頭部に強い刺激が走る――その刹那、ネロは膝から崩れ落ちていた。手足が痺れて動かせない。声も出せなくなっていた。
――機体損傷率90%。直ちに適切な処置を行ってください――
――行動不能。トラブルシューティングを実施します――
ただでさえ狭い視界は緊急アラートで真っ赤に染まっていた。ネロは指1本動かせないまま、メインシステムをフル稼働させて打開の糸口を探る。
「……っ!」
(犯人)は膝をつき、ネロの身体をぎゅっと抱きしめた。後頭部をするりと撫で下ろし、インターフェースポートのある項に触れられてびくつくネロの様子を楽しんでいる。
「あぁネロ、そんな顔しないで? 身体の自由がきかないもどかしさも、何もかも忘れる恐怖も、全部今だけだ。次に起きるときには綺麗に無くなってるよ。――あぁ、それとも、」
(犯人)は一度言葉を切った。ネロの顔の横でいやらしい笑みを浮かべたのがわかる。耳元に唇を這わせ、機体が鳴らす警鐘の向こう側から刺すように言葉を注ぎ込んだ。
「あの男の首を晒してやった方が、何の未練も残さずにこちらへ来られたかな?」
ネロは自分が何を言われたのか分からず、しばらく呆然と固まった。