Re:gret六章3話第3話 逢坂壮五
果たしてこれは何のための会なのだろう。逢坂壮五は柔和な笑顔を絶やさぬまま、心の中で毒づいていた。
今日は叔父の七回忌だ。読経と法話を終えた僧侶が仏間を退出すると、改めて座布団が敷き直されて会食が始まった。ここは壮五の暮らしている洋館ではなく、渡り廊下でつながった和風建築の旧逢坂邸だ。昔、祖父母が住んでいた本宅にあたる武家屋敷で、この日のために敷き直された真新しい畳が青々とした匂いを放っている。伽羅の線香と混ざりあって、お寺にでもいるような気分だ。
法要に参加しているのは、ファイブスターカンパニー、通称FSCで要職についている年配の男性ばかりだった。父のコントロールが行き届いた身内しか出席していないため、話題は仕事の話とそれに付随する雑談がメインとなっていく。
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