お題箱のちょぎひぜ「あ」
「……」
「ごめん」
「別に」
ちょっと指先が触れてしまった。片思いの相手の刀は隣のデスクでいつもドキドキしてしまっているのに、触れる程の距離に来られるともうどうしたらいいかわからなくて、冷たくしてしまう。嫌な子に見えただろうか?そういうつもりじゃないのにうまくいかない…。こういうとき、もっとかわいらしい反応ができたらと思うが、肥前忠広という刀はみんな愛想がないのが当たり前だ。
それはおれの様な女士も含まれるんだろうか?
ちらっと、隣の長義をみればさっきの事なんて忘れましたみたいな顔して、仕事を続行している。人の気も知らないで…あ、振り向く。こちらに気づかれる前に目を逸らす。長義は一瞬、ん?と、したあとまた仕事に戻る。
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