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    ゆき📚

    ひっそりと文字書きしてる

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    ゆき📚

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    【ロ兄術】《60%の溶媒》
    ただただ二人がいちゃいちゃしてる話が書きたい
    そう思って書きたいとこだけ書いた話です。
    一応気持ち的に六十パーセントの沸点からいろいろあってこういう事になったみたいな感じで書いています。
    ※ただただ二人がちゅっちゅしてるだけ
    ※時系列とか諸々気にするな!書きたいとこだけ書いたんだ!
    ※大丈夫!どんなものでもどんとこい!な方よかったら読んでやってください

    ##JJKS
    ##七虎

    60%の溶媒 今日と明日、相手が常にそばにいる事、遠出は禁止、その他いくつかの制約と五条悟の口利きで特別に外泊許可が下りた虎杖悠仁は七海建人の家に招かれていた。
     「すげぇ綺麗だね!広い!なんかナナミンの家って感じがする!」
     「そうですか自分ではよくわからないですが」
     きょろきょろと頭を動かしている様子は見知らぬ場所を冒険したいような姿にも見えてそんな彼を離れた場所で見つめながら七海の脳裏に五条の声が再生された。
     『いいよ、僕は君を信頼してるから』
     そう言って含みのある笑みを自分に向けてきた姿も同時に思い出す。
     今回の件でしばらくはうざいくらいに自分に絡んでくる画が容易に見える。
     そんな事を思い七海は気を重くしていると
     「ナナミンッ」
     それでもこの判断をしてよかったと思えるのは嬉しそうに笑みを見せ自分を呼び
     「今日は呼んでくれてありがとな」
     こんな彼の姿を見れたから


     *****


     本来ならばゆっくりとした時間を過ごしたいものだったがこの二人っきりの時間には期限がある。七海はそれでもこうして一緒にいれればと思っていたが相手はそういう訳でもなく
     「お風呂、先に入りますか?一応パジャマも用意したんですけど」
     何気なく言った七海の言葉に先程までのはしゃぎっぷりが嘘のように黙ってしまった虎杖を見てしまったと思いながら
     「すいません、深読みさせてしまったようですが他意は無いんですよ」
     「え?無いの?」
     自分の口から出た言葉に後から虎杖は自分で驚きながら「いや、あの…」
     「虎杖君」七海は相手の隣に立って静かに声をかける「そういう事に対してお互い色々と話し合って君も私も互いに理解していると思っています。ただそれでも私は今日こうして貴方を自宅へ招いたのは自分のテリトリーに君の存在を感じたかったから。それは充分私のわがままで、だからそれ以上は――」
     「俺は、もうちょっとナナミンのテリトリーに入ってみたい」
     遮られ発せられた言葉に七海は視線を床に落とす。
     「虎杖君、お風呂先に入ってきてください」
     「ッ、ナナミン、俺」
     「その間に寝室を整えておきますから」
     七海の言葉に虎杖の顔がぱぁっと明るくなりそして赤く染まる。きっといろんな感情が混ざりながら状況を整理、理解しているのだろう。
     「気合入れて入ってくる!」
     高らかに宣言するように言った彼に七海は思わず小さくだが吹き出してしまった。


    *****
     

     「なんだかんださ、ナナミンは経験済みって感じで全然緊張してないよね」
     自分が用意した紺色のパジャマ姿で寝室に立つ虎杖はそわつく気持ちをごまかすように七海に話しかけた。
     「俺、自分で言っておきながらさ今すげぇ緊張してて、あッでも、これはなんていうか緊張と言っても――」
     「虎杖君」
     ふっと自分の前に立ちじぃっと自分を見つめてきた七海に虎杖は「ど、どうしたの?」
     不意に手を取られ七海がその手を自分の胸元に当てるようにしてきたので虎杖はびっくりして
     「な、なに?」
     「私だって顔に出ないだけで緊張してるんです」
     「へ…?」
     「ベタな事をするくらいに」
     そう言ってくっと肌に押さえつけられたそこから伝わる鼓動に気がついて虎杖はすぅっと息を吸い込んだ。
     「もしかして。ドキドキしてる?」
     「えぇ貴方以上にきっと」
     七海の言葉に虎杖は「それは」笑いをこぼすように「ないんじゃねぇの」
     和らいだ表情に七海はほっと息を吐く
     怖い思いはさせたくない。まるで石になってしまうのではないかと言う程にガチガチになっていた体から力が抜けるのがわかると掴んでいた虎杖の手に指を絡ませ引き寄せて抱きしめた。
     「わッ、っと」
     すっぽりとはまるような体躯ではないがそれでも抱きしめるその形が温度が愛おしい
     「ナナミン…」
     くぐもった声がおずおずと自分の名前を呼ぶ
     「はい」
     「お、俺も抱きしめていい?」
     「もちろんです」
     七海がそう答えると背中にゆっくりと彼の手が伸びてくるのがわかった。
     緊張なのか気が引けているのか戸惑っているのか肩甲骨の下、手のひらの温度がパジャマ越しに伝わってくる。
     「ナナミン、良い匂いすんね」
     「そうですか、虎杖君もしますよ」
     「えぇホント?てかあれだよねおんなじお風呂入ってるんだから一緒の匂いなはずだよね」
     そう言ってへへへと笑う虎杖の体を離して覗き込むように顔を見つめれば視線を逸らすタイミングを逃した橙色の瞳が揺れる。
     「キスしていいですか?」
     静かに問いかければ「はぇッ⁉」と情けない声を出し驚いた虎杖だったが真っ赤な顔をしながらも「い、いいよ」
     そう言ってぎゅっと目を閉じ身構える彼を見ていると少し罪悪感のようなものを感じて七海は不意に己がすごくいけない事をしているような気分になる。
     「…虎杖君、目を開けてください」
     「え?」そう言われおそるおそるという風に虎杖は目を開けながら「キスの時って閉じるもんじゃねぇの?」
     「そうですね、でも今は開けていてください」
     「なんで?もしかして…したくなくなった?」
     何故そこでそんな風に考えてしまうのか、不安げな色が瞳を揺らす彼を見ながらそんなに自分は信用がないのだろうかと思ってすぐに否定する。
     違う、彼は彼自身、自分自身に不安がっているのだ。
     「少し気持ちを落ち着けたくて、言ったでしょう?私も緊張していると」
     下唇を親指でなぞればそれだけで虎杖の体は震える。
     「貴方の唇はとても魅力的だ」
     「ッ、それは、どーも」
     見える瞳が左右に揺れる、行き場を無くして迷子になりそうで
     「虎杖君、私を見て」そう言えば相手の体が震えてゆっくりと自分に焦点がやってくる。
     まるでスローモーションのように、ぴたりと合わさった瞬間に自分も目を開けたまま唇を合わせてみれば大きく開かれた目が驚きを伝えてきて
     「ッキスって、目ぇ閉じてするもんじゃないのッ!?」
     「一般的にはそうかもしれませんが決まりはありませんからね」
     唇が離れた瞬間叫ぶように聞いてきた虎杖に冷静に答えれば、それでも戸惑って落ち着きのない様子を彼は見せた。
     「嫌でした?」
     「嫌じゃないッ」そう言って勢いがすぐにしぼまり「けど…ナナミンの目、見つめられるとなんかドキドキするから」
     「……無自覚って怖い」
     「え、なんか言った?」
     「いいえ」
     「…あのさ、ナナミン」
     「はい」
     「今度は目ェ閉じてしたい」
     虎杖の言葉に七海は改めて虎杖の腰に手をやりもう片方の手を優しく顎に添える。
     「もちろん、ただ次はもう少し深くしてみましょうか」
     「ふ、深くって?」
     「君の中を」顎に添えた手でくいっと顔を上げながら「探るようなキスです」
     「……ぁ」
     逃す気なんて無いように唇を合わせれば虎杖の口端から不意を突かれた声が小さく漏れ、ぎゅっと目が閉じる。
     ちゅっと下唇を吸ってみれば初心な反応を見せる彼に七海の頬が思わず緩む。
     「口を開けて」
     唇の先が触れるか触れないかの距離で囁けば戸惑いながらも素直に従う姿に七海は目を細めると己の舌先を虎杖の口内へ侵入させた。
     「ん、」
     驚きで震える背中に大丈夫と伝えるように手を添えて
     内側を舌先で舐めると肩が震えて、上がったまま下がらない肩に七海は背中をぽんぽんと叩きながら虎杖の舌先を見つけ絡めるように舌を伸ばす
     味わった事の無い感覚に虎杖はびっくりしてくぐもった声を出すと顔を思わず背けてしまい互いの唇が離れた。
     「ッ、ご、ごめんッ」
     すぐにしまったという風に慌てて謝る虎杖に七海は「大丈夫ですか?」
     「あの、これは嫌とかじゃなくてッそのびっくりして、ごめん、俺、ほんとに…」
     何やってんだろとか細い声がこぼれるの音が聞こえ
     「大丈夫ですよ」
     「ごめん…俺、全然…」虎杖は自分の目元を隠すように手を当てる「ダメだね…ナナミンに迷惑かけて」
     「虎杖君」
     「へへ、こんなんで…」弱々しく震えている声に七海はもう一度「大丈夫です」そう言って抱きしめた。
     「大丈夫じゃ、ねぇよ」
     「どうしてです?キスできたじゃないですか」
     「でも、途中だったじゃん」
     「焦らなくてもいいんですよ」
     「で、でもこんな調子じゃ、いつまでたってもナナミンが全然気持ちよくなれないじゃん」
     しばらくしてぐす、っと鼻をすする音が聞こえ隠したままの目元はきっと涙を流しているのだろうと七海は思うと胸が苦しくなった。
     「貴方は他人の事ばかり」
     「ナナミンだってそうだよ」
     「私は貴方のように優しい人間ではありませんよ」
     そう答えてこめかみにキスを落とし七海は目元を隠している虎杖の手を掴む。
     「もうちょっと待って」小さく呟かれた声と裏腹の外す気の無い目元の手に七海はリップ音をたててキスをする。
     一度、二度、三度目は先程キスしたこめかみに、そうしてまた戻ってキスしていると
     「もうッなんで」
     目元を真っ赤にした虎杖の表情を見た瞬間、七海は自分がホッとした事に静かに驚いた。どういった感情なのだろう、自分の気持ちがわからない。ただ―
     「キスをするのは唇だけじゃないですから」
     愛おしい、自分の目の前にいる彼が、こんなにも
     「怒ってんの?」
     「何故?」
     「俺がちゃんとできないから」
     「まさか、どこに怒る要素が」七海は答えながら虎杖の濡れた目元を指で拭う。
     「嫌になってない?」
     「貴方こそ私がこうして触るの嫌になってませんか?」
     「そんな事無いッ俺はナナミンに触って――」そこまで言って自分の口からこぼれた本音に虎杖は顔を赤くしながらも「ほしいと思ってるよ、今もッ!」
     言い切った虎杖に七海は「ありがとうございます」
     お礼を言うと虎杖の手を掴みぐいっと引っ張って
     「ッわ、」
     似たような展開があったと虎杖は思い出しまた抱きしめてくれるのだろうかと思っていると自分の体が前では無く後ろへ倒れたので思わず「へ?」と情けない声を出しぱちぱちと瞬きして
     そしてベッドに投げ倒された状況を理解した瞬間―――
     「き、急にきたッ⁈」
     「あぁ、いえせっかく使いますから今のうちにとりあえず状況に慣れておこうかと」
     そう言って自分はまだベッドの足元に立ったままの七海の姿を見ていると膝を曲げてベッドへ上がってくる様子に虎杖は心の中で悲鳴のような声を出した。
     やばいよ、キスだけでも全然ダメだったのに、こんなんで俺―
     どうしようと焦っていると自分の顔に影ができ、視線を上げれば自分を見降ろすナナミンの視線と思いっきりぶつかった。瞬間、虎杖はひゅっと息を吸い込んで
     「ッ、な……」
     だめだ、逃げちゃ、逃げたくない、でも― 
     シーツを掴んで口をつぐむ、声を出したら意図しない言葉を言ってしまいそうで虎杖はそれがどうしてもいやだった。
     大丈夫、大丈夫だと自分に言い聞かせて目をつむり待ち構えているとぼすん、とベッドが沈む感覚に薄目を開ける。七海が自分の隣で仰向けに倒れており虎杖は思ってもみなかった相手の姿と行動に拍子抜けした声を出した。
     「ナナミン?」
     「私はダメな人間ですね」
     「え?」
     「貴方を怯えさせてばかり」
     「ッ、そんな事」無いと言葉を続ける前に自分のほうに体を傾けてきた七海に虎杖の心臓が跳ねる。
     「お願いがあるんですが」
     「え?な、なに?」
     「私に触ってもらえませんか?」
     「……はい?」
     触る?触るって言った?え、何、いや意味はわかる、わかるけど
     思考回路を最大限に動かしているような虎杖の様子に七海はシーツを掴んだままの彼の手をやんわりと包むように自分の手を重ねた。
     「今、貴方の手で触れてほしいです。無性に、どこでもいいから。どうか私のわがままを聞いてくれませんか」
     低く、されどねだるようなその声に蜂蜜を垂らしたような甘さを感じて虎杖は自分の顔が熱くなるのがわかった。
     何度目だろう、このまま俺は熱で溶けたりしないよな
     有り得ない事を思いながらちらりと七海を見れば横になった勢いでくずれた前髪がひと房垂れていて普段きっちりと整えている姿とは違うそんな七海に虎杖はきゅうと下唇を噛んだ。
     「さ、触るって、お、俺が触るだけでいいの?」
     「えぇ」
     「どこでもいいの?変なとこ触っちゃりして~」
     赤い顔のまま照れ隠しのようにふざけてみる虎杖に七海は微笑みながら「かまいませんよ」
     静かに答えれば虎杖は黙ってしまい、やがてすーっと息を吸い込む。
     「…本当に触るだけになっちゃうよ?」
     「お願いします」
     そう言って目を閉じた七海に虎杖はゆっくりを手を伸ばすと頬に触れてみた。少しだけひんやりとした感覚がしたがすぐに相手の温もりが伝わってくる。
     親指の腹で頬骨辺りを撫でてみると擦り寄るような仕草を見せた七海に先程とは違う心臓の高鳴りを感じ虎杖は戸惑いながらももっとそんな七海の姿が見たくなって親指を動かししばし撫で続けた後視界に入った耳へ手を伸ばして外側をなぞる。
     人の耳をこんな風に触るのは初めてかもしれない。
     虎杖はそんな事を思いながら軟骨の硬さ、意外に膨らみのある耳たぶの感触を知り、うなじへ手を伸ばし生え際に指をはわした。
     少し前から目に入ると触れてみたいと思っていた場所に触れられた事にちいさな満足感を感じ虎杖はふふっと静かに笑うとそんな様子に気づいた七海の瞼がゆっくりと開き虎杖の顔を見る。
     「嬉しそうですね」
     「実はさ、ナナミンのここ触ってみたいなって思ってたんだ」
     そう言って自分のうなじを触り続ける虎杖に七海は微笑んで
     「貴方の手は温かい」
     「そうかな?ナナミンの肌も温かいよ、あ、くすぐったかった?」
     「少し、でもあなたにこうして触ってもらえて気持ちいいですよ」
     「本当?」
     「好きな人に触れてもらえるというのはそれだけで気持ちがいい」
     好きな人、という七海の口から出た言葉にそれって自分の事だと思っていいんだよなと虎杖は考えながら相手を見る。
     先程と変わらず心臓の跳ねる感覚はいつもより強く伝わってきて
     されどそれはさっきまでの緊張からくるものとは違う類のものだとわかりながらそれをなんと呼べばいいのか、虎杖は不思議な気持ちになった。
     自分の触れた手に甘えるように擦り寄り微笑み受け止めている七海の姿に人生で感じた事の無い内側から滲むような感情に無意識に相手の名前を呼んだ。
     「どうしたました、虎杖君」
     自分の名前を呼び返してくれる唇が愛おしくて虎杖は顔を近づけちゅっと吸いついてみた。すぐに離れたが寂しくなってもう一度触れる。
     もっと―――虎杖は無自覚に囁いて七海の唇に触れれば相手も優しくそれに応えるように自分の唇を食んできて、それが堪らなくうれしく思い虎杖は甘い笑みをこぼした。
     そこから互いに何を言うでもなく形や感触を探り確かめるように唇を合わせる時間がしばし続く
     気持ちいいな、キスってこんなに気持ちよかったんだ
     虎杖はぼんやり思いながら相手の唇に吸い付けば七海もお返しだと言わんばかりに自分の唇を吸ってきた。
     ふと、先程自分の中に入ってきた七海の舌を思い出す、今だったら大丈夫な気がする、虎杖はぼんやり思った後自分の唇を食む七海の唇の感触に甘い息をこぼして
     違うな、俺、ナナミンの舌を感じてみたい
     そう自覚した虎杖は「ナナミン、さっきのキス、してみたい」
     こぼれるようにねだってきた虎杖に七海はもちろんと囁くと合わせた唇の隙間から舌を忍ばせるように虎杖の口内へ
     「ッ」
     ぴくりと震える彼の体に手を伸ばし背中をさすれば自分の腕をすがるように掴んで虎杖の舌先が自分の舌に触れてきた。
     まさかの相手の行動に七海は安心に似た気持ちを感じた。彼が自分を信用してくれたと思うとその信用を壊したくないと同時に彼の口内を余すところなく暴きたいという相反する感情がない交ぜになる。
     触れあった舌をゆっくりと絡ませて形を確かめるように合わせればふぅふぅと息をする音が聞こえ、ちらりと目を開けて様子をうかがってみれば相手も少しだけ目を開けていた。だがどこを見るという意識は無く快感で緩んでいる為の表情だと気づくと七海のこめかみにくっと力が入った。
     唇を一旦離し七海は虎杖の体を跨ぐように覆いかぶさる。怯えさせてしまうかもしれないとよぎった考えは自分をとろりとした目で見上げる虎杖の視線を見て静かに消え去っていく。
     「もう少しだけ、」
     七海はそう囁いて虎杖の頭をなでるようにして再び唇を合わす。すんなりと受け入れてくれた虎杖の舌、頬の内側の感触に頭の中が沸騰しそうな感覚になった。
     不意に耳を撫でればびくりと体が震え、そう言えば彼は耳が弱いと言っていた事を思い出す。
     最初に聞いた時からなるべく触れるのはよそうと避けていたその場所に七海は両手を伸ばして耳たぶを指で挟む
     「ッ、ん」
     それだけでも小さく体を震わす虎杖の姿に七海は興奮し縁を親指で撫でまわした後、自分の指を耳栓をするようにすっぽりとはめて虎杖の舌を少しだけ乱暴にしゃぶった。
     「ッ…んんッ――ふ、ッァ」
     外側からの音が遮断されたせいで自分の内側から成る音が虎杖にダイレクトに響く
     ぐちゅぐちゅと七海が自分の口内を舌でまさぐる感触と共に音が脳に直接響くように聞こえて虎杖は感じた事の無い快感に声にならない声を出す。
     じわりと涙が浮かび開けた目から見える視界が滲む、相手の名前を呼びたくて口を動かそうとしてもうまく動かせず与えられる快感をどうにかしたいと思っていると上顎を舐められ瞬間、背骨に電気が走ったように痺れて腰が浮き意識が白くなった。
     離れた唇、自由になった口から虎杖は息を吸って相手の名前を呼ぼうとしたが、嬌声がこぼれ浮いた腰が震えて
     「ァ、ッ…ゃ、ッ—―?」
     自分に何が起きたのかわからずぼんやりとする意識、ふわふわと浮いているような心地は悪くなく

     「い、どり――」

     自分の名前を呼ぶ声が遠くから聞こえた気がして視線を動かす。
     明るい光、それが何かに遮られるように消えて
     「大丈夫ですか?虎杖君」
     「……あ、ナナミンだぁ」
     自分を見てふにゃりとした笑みを見せる虎杖に七海は安心したように息を吐く
     「ナナミン、どーした、?」
     ふわふわとした意識のまま自分を呼ぶ虎杖に七海は深呼吸をして自分を落ち着けると
     「気分はどうですか?」
     「ん~?なんか、ふわふわする」
     そう言って目を閉じる虎杖に七海が声をかけると返事はするが目を開けるのが億劫で
     「今日は、ここまでですね」
     また七海の声が遠くなっていくようでそれは少し寂しいなと虎杖は手を動かす
     「そばにいてよ、ナナミン…俺の、そば……」
     そう言ってのばした手が重力に負けてシーツに落ちる寸前七海はその手を掴む
     「そういう甘えは起きてる時や意識がはっきりしてる時にどんどん言ってください」
     七海は寝息を立て始めた虎杖に少し未練がましさを込めて囁くと掴んだ手の甲にキスをひとつ落とし微笑んだ。

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