暗く広い舞台に、光が灯る。
スポットライトに照らされ、金管、木棺、打楽器、弦楽器が、色を取り戻したかのように輝き始める。
綺麗に整列する楽器と奏者。
踊る様に振るわれる指揮棒に合わせ、完璧な旋律を奏でられる。
心臓を握りつぶす程の音の重層。
拡張される音響。
鼓膜だけでなく、脳を震わせ、全身の肌が粟立つ。
雑多なものは無く、過不足無く、全てが結び付き、美に昇華する。
視覚、聴覚、感覚を奪い取る圧巻の光景。
聴くほどに自分は音楽を愛していると確信し、楽器に触れる度に再認識する。
その様子に両親は最前列の特等席を宛がい、有名な教師達を呼び寄せた。
ピアノ、ヴァイオリン、トランペット、ホルン、クラリネット、フルート……多くの楽器に触れさせてもらった。
4677