全ての世界に唾を吐けこの話を書くまでのあらすじ
明日から一週間ずつイベントに持っていく話を投げつけます。一週間事に投稿と削除になります。脱稿が落ち着いたら楽しい死ネタ祭りなので、心を強く持ちましょう!
因みにこれは武夏←ドラになる予定の話!!タケヒナ、ドラエマ要素はありません!!
役立たずの世界は言った。
彼の心を護って欲しい、と。
役立たずの未来は言った。
彼の精神を助けて欲しい、と
役立たずの過去は言った。
彼の笑顔を、取り戻してほしい、と。
これは俺(九条夏樹)の物語。
これは俺の、幼馴染の物語。
俺の名前は九条夏樹。この世に産まれた時から同級生で幼馴染の花垣武道と一緒に人生をスタートしていた。
タケミチは可笑しなやつだった。言葉を話し始め、物心がつき始めたころから、夢見が悪いのだと泣いていた。見た夢の内容がリアリティのある描写だったから特に声を上げてわんわんと泣いていた。
それを見て、俺は仕方がないな、とため息を吐いた後、武道をその夢の場所へと連れて行くのが日課だった。小学校の頃に迷い込んだ家でマイキーという少年達に出会い、真一郎と武臣という二人組に出会った瞬間、タケミチがカタカタと身体を震わせたのは、今でもはっきりと覚えている。
あれは恐怖に染まった人間が出す震え方だった。そんなタケミチをみて心配してくる彼らの視界に入れないように通せんぼをするようにタケミチの前に出て、彼となるべく会話させないように帰り道を尋ねたのはいい思い出でもある。そしてこの時から、タケミチは泣き虫のヒーローになってしまった。
言えることは一つだけ。世界は、酷く平和だという事。あの出会いから少しして、武道は言った。今助けないと、三途君の口が裂けてしまうって。三途君って誰やねんって言いたかったけれど、タケミチの必死な形相に、つい手を伸ばしてしまった。けれどその手を伸ばす時も、タケミチはガタガタと震えていた。あの箱庭に戻りたくないとうわごとのように呟きながら、けれど見捨てたくはないと嘆いていた。
だから俺が彼らの仲裁に入った。千寿がこけそうになったのを手早く助けたし、マイキー君とやらの宝物を護ってやった。本当にそれだけ。俺からしてみれば、タケからお願いされたことを遂行しただけだから、彼らと仲良くなるきっかけにすらならない話。けれど意外としつこいなって思った。見かけたらとりあえず話しかけるっていう彼らのポリシーなのか、一日一回は話しかけてくる。定期か??
「なっち!たけみっち!今からシンイチローのとこ行こうぜ!」
「宿題あるから無理」
「ご、めんなさい…!」
今日も今日とて何かに怯えているタケを横目に見ながら、すまんな!と声を出せば、めちゃくちゃ拗ねた顔でタケミっちばっかりずるい!と言われた。どういう事か分からんのだが。そんな気分でマイキー君を見れいれば、タケが珍しく声を荒げて「なつは俺のだから!」と言ったので取り敢えず今日はマイキー君とダル絡みは出来なさそうである。
「すまんな、マイキー君。タケの情緒が不安定だ」
「タケミっちも一緒に遊びたかったのに…」
「また誘って」
穏やかにそう言って、俺の腕に爪を立てるタケを抱き寄て彼と別れる。道を歩きながら、俺とタケとで決めた二人だけの言語の海を泳ぎながら、なんでそんなに怖がるの、と聞けばいつものようにタケは無言になった。まぁいつか話してくれるだろうとほったらかしにしすぎた節があるけれど、それでもそろそろ話してくれてもいいと思うンだけどなァ、とかなんとか思っていたら、いきなり「俺、未来が見えるんだ」なんて言ってきた。
「ほほう?」
「信じられないかもしれないんだけれど、マイキー君たちの未来も知ってる」
「面白いね。続けて?」
「俺の知っている世界では、マイキー君たちは反社のトップになって救いたくても救えずに俺は死んだ。どうしようもなく生きながら、たくさんの人間が死んでいくのを見ていた」
「珍し。心ボッキリ折れてんじゃん」
「でもね、なつ。お前だけはこの世界で初めましてなんだ……」
だから、俺の傍からはなれないで。
そう言ったタケに仕方ないなぁ!なんて笑って声を上げた。